2024.02.01 Thursday 08:23

第45回星雲賞

第45 回星雲賞が発表されました。

受賞者のみなさんおめでとうございます。

 

星雲賞「滑稽な悲しみ」 金子和美

優秀賞「うからの里」  土田淳孝

   「確立」     宮澤順子

秀逸賞「赤いワンピース」新井史子

   

星雲賞受賞作品

「滑稽な悲しみ」 金子和美

 

さびしがる権利かまきり生まれる

とんぼうの翅に指紋をつけました

青田波いつか泣かなくなった母

星ひとつ海月が秘密にしてた恋

鳥渡る星座に沿ってゆけばいい

込み入った事情で蔦になりました

無責任に慰められて水羊羹

絵日記に少しの嘘やところてん

生き延びて玄孫生まれるヒロシマ忌

シロナガスクジラ朝焼痛いほど

蚊のとまる末期の父のふくらはぎ

のどけしや円空仏の三頭身

何度でもおんなじ話おぼろ月

羊水に浸かってました泳げます

微力とは無力ではなしかたつむり

 

 


2023.01.27 Friday 12:47

第44回星雲賞

第44 回星雲賞が発表されました。

受賞者のみなさんおめでとうございます。

 

星雲賞「タイマーが鳴る」 宮城留美子

優秀賞「季の様相」    鈴木千鶴

   「夕焼」      金子和美

   「夏の秘密」    山根摩耶

秀逸賞「千の愛しみ」   新井史子

   「ただまっすぐに」 鈴木淑子

   「二〇二二夏」   上田洋子

   「始まりは真夜」  齋院志津子

   「被曝の樹」    福島ときみ

 

星雲賞受賞作品

「タイマーが鳴る」 宮城留美子

 

すすき折るまず変身の手はじめに

体液に混じる青田の匂いかな

納得といえど白濁砂糖水

ねずみ花火くるくる闇を追うビート

死ぬまでの生き活茄子の苗植えて

水打ちてわたしの今日を確かめる

クロッカス植えて新し椅子とする

万緑にストンと落ちし円周率

夕焼けのたらたらと泣く武甲山

レース編む何かに辿りつくために

神さまの配役わたしは向日葵

空蝉のぶんまで息をして見てる

水の気分木地の気分に紙を漉く

いつの間に天の高さよ塩せんべい

虹消ゆるタイマーが鳴る炊飯器

 

photo by Fu

 


2022.01.17 Monday 17:39

第43回星雲賞

第43回星雲賞が発表されました。

受賞者のみなさんおめでとうございます。

 

星雲賞「左利きの神様」 藤澤晴美

優秀賞「夏の日」    深沢ふさ江

秀逸賞「水中花」    宮澤順子

   「時の傷」    宮城留美子

   「音」      島田良江

   「森の街」    若山一美

   「雨やまず」   篠原葦

 

星雲賞受賞作品

「左利きの神様」 藤澤晴美

神様は左利きです日の盛り

嘘つきは十薬の始まりかもしれぬ

この夏にジャストサイズの瘡蓋

いっせーの、で夕立やって来る

輪廻転生つぎは飛魚がいい

はたた神想いを訳している途中

浮いてこい痛みと祈りは同じもの

わたくしが止めを刺します雲の峰

どこからが裏切りですか水中花

滝しぶく風に磨かれ光りだす

人間を忘れそうです草いきれ

欲しいのはいつもの夏やはないちもんめ

魂消ると天を向きますあめんぼう

原爆忌どこかに地球防衛軍

髪洗う時間の棘が抜けなくて

 

photo by Fu


2021.01.11 Monday 11:34

第42回星雲賞

第42回星雲賞が発表されました。

受賞者のみなさんおめでとうございます。

 

星雲賞「もういいよ」    金子和美

優秀賞「母はソプラノ」   齋院志津子

秀逸賞「季の印象」     鈴木千鶴

   「秋のア・ラ・カルト」白戸麻奈

   「蝉時雨」      折原野歩留

   「この先」      箱森裕美

 

星雲賞受賞作品

「もういいよ」 金子和美

オルガンの音がより添ふ秋の虹

お日様やしづくそのもの裸の子

流星のための小箱を組み立てる

ドーナツの穴いない子に蟬しぐれ

懸命にするまばたきや星月夜

もういいよもういいんだよ合歓の花

守られてゐるといふ自負ハンモック

泣き声をすり抜けてゆくしやぼん玉

糸遊に目印付けておいたのに

いつかゆく川を見てゐる青胡桃

初夏のくるぶし水はやはらかし

指切りは今も有効桜東風

檸檬搾るこのまま生きていいらしい

もういいかい花菜畑に星ひとつ

ビー玉に水平線や春の空

 

 


2020.11.13 Friday 07:20

第51回埼玉文学賞 

第51回埼玉文学賞 

彩の国・埼玉りそな銀行第51回埼玉文学賞が決定しました。

俳句部門は応募113点、準賞2点が選ばれました。

*11日付の埼玉新聞に受賞者の横顔、

 12日付に作品と選評が掲載されています。

(埼玉新聞サイトはこちら

 

準賞 「結び」浅野都

   「傾ける」箱森裕美

 

佳作 「澱」渡辺智恵

   「あたたかし」金子和美

   「耳打ちの」斯波広海

   

準賞受賞作品

「結び」        浅野都

 

裸木に任す地のこと天のこと

マジックのとある結び目しゃぼん玉

草結びなどもしたわね苜蓿

結願の暁ふわっと若葉の香

結ひ上げし髪に飾りぬ藤の花 初夏だ風流傘のお通りだ

初めての結びの一番青嵐

結ばれるまでのいきさつ祭の夜

八月十五日の口一文字

まんじゅしゃげ結跏趺坐など程遠し

結界の是非に及ばず青葡萄

白い秋敬具で結ぶ別れ文

明日は実を結ぶであらう月明り

秋灯下完結編に差しかかる

金品にあらず結納温め酒

文化の日みせる結び目みせぬ紐

開手打つ神有月に雲のなし

葉脈が主役勤労感謝の日

初稽古帯しめなほす柔道家

すんなりと溶け込むことも六つの花

 

 

「傾ける」      箱森裕美

 

折り紙の端を合はせて折り朧

痛くありませんか溶けゆく春の雪

きさらぎの卵割る音混ぜる音

下心閉ぢ込めてゐる桜餅

感想の短きメール亀の鳴く

ストローをぷつりと昏き五月来る

手握つてをりひなげしへ変はるまで

飛行機の山へ隠れて豆御飯

許してしまふ打水のあとにまた

百日紅奪ふとも奪はれるとも

八月や眼鏡をたたむとき軋む

まなうらに秋の蛍の永らへる

目覚むれど畳に桃の香りけり

くすくすと見せ合ふ日記小鳥来る

身の内に広がる洞や金木犀

憎しみはあらずマフラー編みにけり

寒泳の息継ぎのたび告白す

白鳥の空背負ひたる震へかな

鮟鱇や言へば崩るることばかり

春遠からじ背表紙の銀の箔

 

*その他部門の受賞作品はこちら

 

 

 

 

 

 


2019.11.11 Monday 12:30

第50回埼玉文学賞 受賞作品 

第50回埼玉文学賞 

彩の国・埼玉りそな銀行第50回埼玉文学賞が決定しました。

俳句部門は応募104点、準賞2点が選ばれました。

 

準賞 「雨の中」伊藤恭子

   「歩かねば」渡辺智恵

 

佳作 「柱」浅野都

   「耕」島田禎二

   「大滝の森」金子和美

   「冬木の芽」須田真弓

 

準賞受賞作品

歩かねば    渡辺智恵

 

土埃なかなか去らぬ暑さかな

炎帝と違ふ尺度で生きてゐる

向き合へる暑さ向き合へない暑さ

日除けして息をひそめてゐたりけり

分かれたきレールもあらう日の盛り

戦争をしたい人ゐる油照

向日葵が溶けてバターになりさうな

夕立のすぐに乾くや閻魔堂

いつまでも追いかけて来る蝉時雨

積めるだけ人詰め込まれ冷房車

溽暑なり遠い記憶の鰓呼吸

片陰を出で行列のなほ続く

蝙蝠や三百頭の牛眠る

鎮まらぬものに水打つのがやつと

風鈴の炎を思い出すことも

熱帯夜ダリの時計が垂れ下がる

言ひさして言はずにおけり心太

空蝉の殻を破るは一度きり

暑さにも水晶ほどの純度あり

歩かねば風死せるまま歩かねば

 

 

雨の中     伊藤恭子

 

御降りのあとかたのなく雀来る

寒卵素直に割れて雨上がる

野を横に雨の走りて蕗の薹

椿落つ雨三日目の石畳

茶碗蒸しの底の銀杏春時雨

利休忌や夜に入りても止まぬ雨

降りはなの雨なら濡れて桃の花

初桜昨夜の雨の雫かな

雨こまやかに薔薇園の鉄扉かな

小刀で削る鉛筆傘雨の忌

アイロンに当て布梅雨の家広し

永遠に止まぬ雨かも太宰の忌

中庭を濡らす雨見て泥鰌鍋

シーサイドホテル裏口半夏雨

雨だれの百会に四万六千日

八分目折れ鶏頭が雨の中

荒物屋米屋呉服屋秋黴雨

河原の石より濡れて秋深む

柳葉魚焼く火を宥めたり冬の雨

目薬の後のまばたき霙降る

 

その他の部門作品

 


2018.11.19 Monday 18:32

第49回埼玉文学賞 受賞作品 

第49回埼玉文学賞 

俳句部門 準賞受賞作品

 

風の歌   森 壽賀子

 

全山の霊を従へ風光る

春風に乗って少年鳥になる

東風吹かばヨガのポーズをゆっくりと

比良八荒だあれもいない波の上

たんぽぽの旅立つための風になる

今生はまだまだ助走若葉風

浮き沈みする定めなり山背吹く

煩悩を洗ひ流しぬ青田風

茅花流し抱へきれない古墳かな

英霊の声が届けと南風

非常口に入りきれない青嵐

颱風の眼の中こそは浄土かな

オムレツがうまいと思ふ秋の風

踏み切りを渡りきれない白い風

風をみるために芒となりしかな

その先の空気が読めぬすきま風

北風に磨きぬかれし森である

すさまじき神の声かな虎落笛

産土は遠き道のり雪しまき

 

 

秩父朱夏(抄) 須田真弓

 

武甲嶺を大きく据ゑて豆の花

機織の糸を正して麦は穂に

巡礼の鈴の音消して梅雨出水

笈摺を置きてこの世の心太

動脈のやうな稜線夏深し

 


2018.01.05 Friday 09:38

第39回星雲賞

 今年で39回目を数える星雲賞は、同人・会員の区別なく、

純粋に応募された作品15句の競詠による「紫」の俳句賞です。

今回は41編の応募がありました。

作品は事前にすべて清記し直されるため、

選考に臨む主宰・副主宰も選考会議が終わるまで

作者が明かされることはなく、公平厳正な審査がおこなわれます。

 

結果は以下の通りです。

 

星雲賞  「水声」      伊藤伯子

 

優秀賞  「月光浴」     藤澤晴美

     「後ろ盾」     浅野都

     「ソプラノ」    岡嶋澄子

     「記憶」      後藤宣代

 

第39回星雲賞受賞作品

「水声」     伊藤伯子

 

若葉風とほる一部屋だけの家

蔓薔薇の隙間にひとり暮らしをり

ひとり分まだ濡れてゐるプールサイド

寝不足の朝に増えたる熱帯魚

新しき箸に手強きところてん

河童忌の廃材はみな湿つてる

水平にこだはつてゐる夏帽子

廃材の太き尖りや夜の秋

湯をそそぐだけの夕食夏の果て

新涼の上半身は反つてをり

物差しのかたへに残る暑さかな

かなかなや私が降りて空のバス

水声につながつてゐる草の花

芒原しばらく息を止めてみる

買ふ水の種類とりどり流れ星

 

 

 

 


2017.11.29 Wednesday 20:44

第48回埼玉文学賞 受賞作品 

第48回埼玉文学賞 

俳句部門 準賞受賞作品

風のひとひら

山崎加津子

風鈴になるまで風鈴聞いてをり

迷ふのはいつも書き出し葛の花

新涼やがんばらなくていい時計

秋が来るらしい二列に並びませう

天高し東京を出るはかりごと

ひとひらの風になりたる秋桜

雁渡し水輪のびのびのびのびと

風力3何になりたい赤とんぼ

踵からしつかり歩く水の秋

天気図に白いコスモス押し寄せる

水平線みえる城山いわし雲

海からの風のもつれを梳く芒

観音の思はれづかれ萩の風

水よりも淡き血縁秋黴雨

癖のあるひらがな釣瓶落しかな

列車来るまでは秋思と戯れり

さやうなら月を待たせてをりまして

星月夜足裏掬はれさうになる

少し手を伸ばして届く天の川

白桃の産毛さはさは砂時計

 

手毬唄

山本菫

探梅の帰りの無口はなやげる

靴下であがる茶房の立雛

鳥の胸しなひて桜また散らす

髪切つて麦秋の畦ひとまたぎ

螢火にゆび触れてより闇荒ぶ

灯点りて達者に替はる祭笛

行々子もう引つ込みのつかぬ声

いつよりの森番なるか蛇苺

蝲蛄を見る児こぶしを握りたる

瞬かぬ惑星あまた夜干梅

カステラの舌にざらつく法師蝉

勾玉に甘撚りの紐秋はじめ

号令で日暮れ来さうな大花野

秋蝶の谷戸深ければ朽葉色

穂芒に手招きさるる覚えなく

夕空は椋鳥の意のまま発車ベル

他愛なく夜に沈めり青蜜柑

水といふ水に青空冬雲雀

花柊香るは影にならぬため

長屋門聞きたきものに手毬唄

 

 


2017.10.18 Wednesday 14:12

更新しました

更新しました

 

川口句会(2017.10.3)

さいたま句会(2017.10.17)分、内容一部更新しました。


<<new | 1 / 4pages | old>>
 
CALENDAR
NEW ENTRY
ARCHIVES
CATEGORY
COMMENT
PROFILE
MOBILE
LINK
RECOMMEND
SEARCH
OTHER

(C) 2024 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.