2020.03.06 Friday 15:58

「紫」2020年3月号・2

「紫」2020年3月号

大道無門(「紫」3月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

洗つても落ちない目鼻雪もよひ  山加津子(無門集) 

 禅の言葉に「平常心是道」「眼横鼻直」がある。

当たり前のことを当たり前と享受することの難しさを説いている。

道元にしても、そのことが解るまで多くの歳月を要したのである。

顔を洗ったあとの凛とした感覚を〈雪もよひ〉と感取したところに

真骨頂がある。

 

初しぐれ勝に繋がる歩であらう  浅野都(無門集)     

 将棋で最高の駒は王であり、最下位の駒は歩である。

さまざまな駒を使い相手をギブアップさせるのだ。

最下位の歩であっても疎かに出来ない。

歩を上手く使うことが勝ちにつながる。

人生でも、このこのことは言えることで肝に銘じたい。

 

地下鉄に勾配のあり去年今年   伊藤伯子(山紫集)

 

ポケットに半券の余韻冬銀河   高橋姜子(山紫集)

 

欺されたふりして囲むおでんかな 嶋野靖子(山紫集)

 


               * * *

 

龍門集

踏み止まれそうこの冬空の青さなら   鈴木紀子

異議なしといふは怖ろし滝凍てず    若林波留美

淡海をわがもの顔の浮寝鳥       森壽賀子

 

無門集

十二月八日しづかに米を研ぐ      福島ときみ

霜柱身を立て直す真っ最中       村木友光

味はへば乙な孤独や酉の市       渡辺智恵

沈黙のそこが恐いよ毛糸編む      稲葉明日香

ひとりづつ部屋ある事の寒さかな    折原野歩留

今なにが出来るのだらうペチカ燃ゆ   木村成美

すれ違ふだけの関係冬の風       後藤宣代

この窓は開きません十二月八日     小林邦子

 

山紫集

自力では解けぬ束縛枯かずら      梁瀬みちこ

嘘と黙似て非なるかな初氷       若山一美

このタイミングだったのか虎落笛    猪熊みね子

細き指誰に似たのか石蕗の花      上田洋子

潔白を立証せんと大根切る       大平寿江

極月や魚は向きを変へたがる      久下晴美

開戦日そ知らぬ顔の人数多       小金平佳代

欺されている方が楽虎落笛       椎名和夫

左手で右手の爪を冬ざるる       篠原葦

窮極の一品ならむ紙懐炉        鈴木千鶴

霜夜終はらぬ息確かめて眠らねば    箱森裕美

浮き寝鳥水を沈めて水に浮く      深沢ふさ江

折鶴のみな凍鶴になる気配       松林杏子

 

新星集

当り前なれど難しや漱石忌       池田ゆふ

余白無き冬の星座や砂時計       盒局匯

白菜の縛られてより増す密度      辻野喜久

 

(「紫」2020年3月号・NO.910号より)

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2020.03.02 Monday 19:13

「紫」2020年3月号・1

「紫」2020年3月号 

 

龍門集より

白鳥を紡がむとして佇ちにけり    山崎十生
凍滝の純度を保ちつつ躄る

十二月八日桜とふ字の怖し



虎落笛あれは身の上話です      渡辺まさる

木枯のよんどころなく曲りけり

 

踏み止(とど)まれそうこの冬空の青さなら 鈴木紀子

柚子は黄に過去がどんどん丸くなる


それぞれの色の合唱草紅葉       関口晃代 

にぎやかにそして静かに草紅葉

 

つちくれのひそかなゆらぎ夕枯野     若林波留美 
しづもれる微熱の星や冬紅葉

 

淡海をわがもの顔の浮寝鳥           森壽賀子
ゆるぎなき遊びごごろや枯尾花

 

 

(「紫」2020年3月号・NO.910号より)

 

 

 

 

 

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2020.02.10 Monday 15:11

「紫」2020年2月号・2

「紫」2020年2月号

大道無門(「紫」2月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

露の玉収まりきれず歪みたる     若山一美(山紫集) 

 「露」は、単に儚さを象徴するだけではなく、

あらゆる角度から一句を授けてくれるエネルギーがある。 

小さな小さな露には、はち切れんばかりのエネルギーが宿っている。

露と言っても完璧な球形ではない。内に秘められてたエネルギーが

歪みを加えているのである。

 

白露はほぼサイレントマジョリティー 大滝徳美(無門集)     

 サイレントマジョリティーとは、欅坂46というグループの歌でもある。

ここでは、本来の意味は「物言わぬ多数派」ということである。

白露を、そのように見立てたのは、凄い閃きである。

考えてみれば、俳句も、そういうことが言えるのではないであろうか。

佳汁。

 

霜柱カンフル注射打っていた     浅野都(無門集)

 

夜な夜なの秋思に飽きてストレッチ  金子和美(山紫集)

 

冬銀河いつもの道を逆まはり     伊藤伯子(山紫集)

 


               * * *

 

龍門集

懐の奥は深いぞ憂国忌          森壽賀子

 

無門集

吊されて喜色満面たうがらし       高橋姜子

被災地の悲鳴を知らでななかまど     村木友光

先頭をゆくのは苦手冬銀河        山加津子

有漏路あり無漏路ありけり露の玉     依田壽子

間夜を取り持ってゐる冬の霧       渡辺智恵

霜の葉のくれなゐまだら憂国忌      新井富江

吊したり積んだり山家の冬仕度      折原野歩留

それぞれの黙の賑はひ枯蓮        かみのみずほ

伸び代は大事にしやう秋闌ける      木村成美

暗がりから呼び止む声や金木犀      後藤宣代

 

山紫集

償ひのつもりであるかに秋日和      吉野日出美

曲想は遂に天から木の実降る       上田洋子

千年の転居通知や神の留守        内田幸彦

トルソーの息吹き確かに飽きふかむ    大塚美代子

ポケットに飴玉一箇秋うらら       小眄子

しぐれをり熟睡できる北枕        久下晴美

秋深し行き交ふ人の無表情        下田純子

白鳥はなんらかの鍵にぎってる      白戸麻奈

求め合ひながら散りゆく紅葉かな     鈴木千鶴

いつも同じ返事や秋の暮         田邊則子

甦るものも眠らせ枯れ果てる       土田淳孝

秋深し妣のいさうな奥座敷        西本明未

比良男忌の大きな窓の大きな樹      宮城留美子

 

新星集

これ程の快楽はない大枯野        宮澤順子

強要であってはならぬ霜柱        一井千恵子

振り向けば顔なきマネキンそぞろ寒    辻野喜久

 

(「紫」2020年2月号・NO.909号より)

 

 

 

 

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2020.02.03 Monday 13:01

「紫」2020年2月号・1

「紫」2020年2月号 

 

龍門集より

姥捨の星の輝き増す芒        山崎十生
過敏性コスモス胸の内を衝く

ポケットの中の忖度天の川



芒原中心点はありません       渡辺まさる

7÷3未来の秋がそこにある

 

語り口いろいろ紅葉黄葉かな     鈴木紀子

気流に乗って地球脱出秋の蝶


一木一草怒濤となり怒濤となる    関口晃代 

千曲川のロマン怒濤となりゆけり

 

上つ代の母音は八つ鰯雲        若林波留美 
まほろばの母音たなびくをみなへし

 

懐の奥はふかいぞ憂国忌           森壽賀子
ひとしれず修行中かな日向ぼこ

 

 

(「紫」2020年2月号・NO.909号より)

 

 

 

 

 

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2020.01.20 Monday 15:38

「紫」2020年1月号・2

「紫」2020年1月号

大道無門(「紫」1月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

いちどもかじったことのない檸檬齧る 小林邦子(無門集) 

 作者は、いつも新たな視点で作品を発表している。

掲句にしても散文調を最大限に生かしている。単なる叙述で

あっては詩は生まれない。単なる叙述に見えてそうではない

レトリックは、悟道にも等しい。現実と非現実の狭間に詩的

エネギーは存在する。その典型的な一句。

 

月光下ぴくりと浮子が動きます    渡辺まさる(龍門集)     

 

そのときのための装ひなりし山    大滝徳美(無門集)

 「山装ふ」と言う季語の恩寵を全面的に受けている作品である。

その恩寵を花開かせる装置は〈そのときのための〉という措辞である。

一体、〈そのとき〉とは、どんな場面を想定しているのであろうか。

俳句は読み手の文芸と言われている。非日常的な神秘の世界を想起する。

 

細やかな身のこなしやう草の露    浅野都(無門集)

 

こんな日が来ると思はず酸橘搾る   猪熊みね子(山紫集)

 


               * * *

 

龍門集

露の橋つひに振り返らざる背中      鈴木紀子

見え初めし山なみ招き寄す穂草      若林波留美

一切を天にまかせる猫じゃらし      森壽賀子

 

無門集

風だけが芒の力を知ってゐる       斎藤久子

爽やかや犬に見せてる力こぶ       島田良江

芒には手を振る準備できてをり      鳥海美智子

冷まじき完の一字のおろかさよ      福井ちゑ子

白秋や留め金ずれるネックレス      山加津子

爽やかな顔になるまで歯をみがく     山田都詩

月光浴浄化をするに如くは無し      渡辺智恵

熱きとは限らぬ火種ゐのこづち      新井富江

いささかの力もみせず萩こぼる      かみのみずほ

引き返す目印の無き薄原         後藤宣代

 

山紫集

ゆゑなくてゆゑなくてゐる夜長かな    本宮珠江

絶え間なく息をしている刈田かな     吉野日出美

露の玉天地を映し転がりぬ        若山一美

草紅葉なくした影をとり戻す       伊藤伯子

そぞろ寒髪を束ねし僧の夫        内田幸彦

秋うららパパの本格的カレー       金子和美

馬肥ゆる土手の老舗の黒光        神尾久雄

有難う言えるといいね銀木犀       齋院志津子

秋の灯や言ひたきことは追伸で      椎名和夫

はじまりはほんのりあかい芒原      篠原葦

絮となり生命繋げる秋の草        清水たまき

本題にたどりつけずに木の実降る     下田純子

 

 

新星集

スポンジの水の吸収秋深し        宮澤順子

本心は風吹く処ねこじゃらし       辻野喜久

 

(「紫」2020年1月号・NO.908号より)

 

 

 

 

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2020.01.06 Monday 15:32

「紫」2020年1月号・1

「紫」2020年1月号 

 

龍門集より

花芒求心力を高めたり        山崎十生
澄む水は遠心力を発揮せり

狛犬の力関係草の花



月光下ぴくりと浮子が動きます    渡辺まさる

秋の朝すこし人間ぎらいです

 

四次元へ転び落ちゆく芋の露     鈴木紀子

生きぬくコツ覚えた順に柚子は黄に


耳飾りとればたちまち青谺      関口晃代 

天地創造X線は水びたし

 

見え初めしやまなみ招き寄す穂草    若林波留美 
明けぬ夜はなきと信ぜり神無月

 

一切を天にまかせる猫じゃらし        森壽賀子
精霊のまぎれ込んでる芒原  

 

 

(「紫」2020年1月号・NO.908号より)

 

 

 

 

 

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2019.12.09 Monday 14:05

「紫」2019年12月号・2

「紫」2019年12月号

大道無門(「紫」12月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

グラスにはイニシャル流星に王子   宮澤順子(新星集) 

 よく、グラスに金文字で描かれているのを見かける。

この作品は、二重構造になっていて、意味を解すると言うよりも、

読者が、どう感取するかにある。特に、流星にも王や王子があるというのは、

独特の感性であると共に、俳句には、まだまだ輝く未来があると感じさせる。

 

水の秋一円相の中は空        渡辺智恵(無門集)     

 一円相は、禪の極みである。ただの円に過ぎないのだが、

そこには、日常の営為から広大な宇宙をも包含している。

一円相を見ただけでも、悟りの度合いが解るとされている。

下五の〈中は空〉は、まさに虚の世界ではあるが質量の高い

虚空のエネルギーがある。

 

終わりとは次の始まり草の花     桝村節子(山紫集)

 

空蝉になほ一弾指ほどの息      鈴木千鶴(山紫集)

 

めいめいの部屋の扉を閉め夜長    伊藤伯子(山紫集)

 


               * * *

 

龍門集

バイブルのように白桃置いてある     鈴木紀子

観音と響きあふかな露の玉        森壽賀子

 

無門集

稲雀夜は駅前一等地           盒欣子

刺こそは生命なりけり笑う栗       依田壽子

虚構でも虚飾でもなし鉦叩き       浅野都

この位置を守り継ぎます思草       大滝徳美

 

山紫集

水中の深くは触れずげんごろう      宮城留美子

今までは仮の姿の露の玉         吉野日出美

猫じゃらし全部揺れてるわけじゃない   若山一美

大木に絡みつきたる大南瓜        石割ふじ子

いっさいを語らず仕舞ひ草の花      猪熊みね子

枝幹を支へし根元身に入むや       小眄子

鳥渡るローマングラスのとほき蒼     金子和美

草の根の握手広げる鰯雲         小金平佳代

自転車の空気満タン水澄めり       齋院志津子

黙礼だけで立ち去る人に月天心      篠原葦

芋の露いばらの棘へイエス歩む      渋谷芳夫

時々は花弁閉じたい水中花        嶋野靖子

空席を探しきれない虫時雨        島村治子

大袈裟な身ぶり手ぶりの団扇かな     下田純子

浄瑠璃の鏡芋虫見せられる        白戸麻奈

後退りできぬ構への飛蝗かな       土田淳孝

どこまでもコスモス不発弾に注意     長島千恵子

血管の行方見ている夜の長し       藤倉忍

圧巻な暮らし方です草の花        藤澤晴美

 

新星集

媚びを売るわけじゃないけど赤とんぼ   城口弘子

落人の裔やも知れず蕎麦の花       辻野喜久

(「紫」2019年12月号・NO.907号より)

 

 

 

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2019.12.02 Monday 14:03

「紫」2019年12月号・1

「紫」2019年12月号 

 

龍門集より

汚染水のタンクは棘や天高し     山崎十生
色変へぬ松に御籤を結びけり

白露のどこも入り口出口かな



明るいねあの世の螢かもしれぬ    渡辺まさる

八月の街は黒い傘ばかり

 

消去キー押すや一面蜻蛉の空     鈴木紀子

バイブルのように白桃置いてある


水のような風のような花を摘むかな  関口晃代 

もくもくと山の思想を浴びてくる

 

新涼といふ大いなる貢ぎもの      若林波留美 
あらたなる夜空ひろがり花火果つ

 

観音と響きあふかな露の玉         森壽賀子
桔梗や血は爭へぬものならむ  

(腥し なまぐさし)

 

(「紫」2019年12月号・NO.907号より)

 

 

 

 

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2019.11.04 Monday 12:26

「紫」2019年11月号・2

「紫」2019年11月号

大道無門(「紫」11月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

炎天を行くのっぺらぼうの群れ    後藤宣代(無門集) 

 あまりの暑さに気を失ってしまいそうになる。

ふだんは、精気に満ち満ちた表情で街を歩いているのだが、

まるで無表情ののっぺらぼうよろしく、人間が歩いている。

歩いていると言うよりも漂っているかの如く炎天下を

彷徨っている。幻想的な一句となった。

 

終戦日忘れ上手な人ばかり      椎名和夫(山紫集)     

 

ほんたうは沈んでゐたい浮いて来い  渡辺智恵(無門集)

 「浮いて来い」という季語には、単に水に浮かべるだけの

玩具もあるが、筒に沈めて浮いたり沈んだりする方が趣がある。

本来は、浮いてこそ使命を達成する。しかし、浮きたくないと

思うのも一理ある。それは、玩具に限らず人間の生き方にも

通底しよう。

 

端居して壁を一枚づつ剥がす     森壽賀子(龍門集)

 

香水をつけて手紙の封開く      一井千恵子(新星集)

 


               * * *

 

龍門集

しかばねとなってもやまぬ蟬の聲     渡辺まさる

列島に三たびの被曝秋暑し        若林波留美

 

無門集

鏡台の香水のこと触れもせず       小林邦子

空までも食ひ込むやうに土用波      斉藤順

万緑や途切れとぎれの川と逢ふ      斎藤久子

多く知り多く語ろう終戦日        盒欣子

無欲ほど阿吽の呼吸土用波        藤井とし子

天衣無縫の先の芒原           村木友光

膝を抱く他に術なしひろしま忌      山田都詩

灯籠の触れ合いながら呼びながら     浅野都

受け皿はかくもありしか御来光      大滝徳美

 

山紫集

猫じゃらし全員一致といふ恐怖      宮城留美子

朝顔や折り紙付きの種もらう       本宮珠江

高原の手作りベンチ星流る        吉野日出美

根の無きを気付かぬような瓶の薔薇    若山一美

線路まで神木の影涼新た         伊藤伯子

黙祷を終へてパラソル開きをり      猪熊みね子

黙祷の一分間を蟬時雨          久下晴美

無心なる蝉の声なり永平寺        国田育子

涼風や白川郷の梁百年          国松洋子

忘れたけれど忘れていない雲の峰     篠原葦

海を割り昇る龍にも雲の峰        渋谷芳夫

星たちと交信したき草の露        原田寿美

 

新星集

香水の瓶の逆さのシルエット       宮澤順子

水槽の出目金見つめ見つめらる      大庭英雄

多分きっと正解はない豆叩く       鈴木淑子

山小屋の書棚ヨットの本二冊       盒局匯

 

(「紫」2019年11月号・NO.906号より)

 

 

 

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2019.11.01 Friday 11:55

「紫」2019年11月号・1

「紫」2019年11月号 

 

龍門集より

無一文こそは至上の昼寝かな     山崎十生
無力にはあらず無の力ハンモック

汗を掻き天然氷削りをり



無茶苦茶という茶をすする猛暑    渡辺まさる

北斎の大浪のごと雲の峰

 

夏蝶と息合ってをり白昼夢      鈴木紀子

きのこ雲知る木知らぬ木油照り


真白のカーテン揺れる湖の朝焼け   関口晃代 

朝焼けの湖におそわれている枕

 

父の骨母の骨掘る焼けし指       若林波留美 
いのちある限り水乞ふひろしま忌

 

端居して壁を一枚づつ剥がす          森壽賀子
無疵なる白桃なれば腥し      

(腥し なまぐさし)

 

(「紫」2019年11月号・NO.906号より)

 

 

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