2020.09.07 Monday 14:43

「紫」2020年8月号・2

「紫」2020年9月号

大道無門(「紫」9月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

決めごとは単純がいいソーダ水  桝村節子(山紫集) 

 何事もシンプルに限る。シンプルな俳句を理想としても、

ついつい力が入り過ぎてしまう。料理にしても、社会の

ことも、考えすぎはよい結果にならない。十七音の

最短詩型は自ずとシンプルさを表象している。季語の

力を借りて単純明快な一句となった。

 

香水の遠ざかるほど佳人めく   辻野喜久(新星集)     

 

沈黙が答でありし螢の火     森壽賀子(龍門集)

 

いま夫婦いつまで夫婦走馬燈   鳥海美智子(無門集)

 この夫婦は、本当に仲のよい夫婦なのだと思う。

夫婦の固い絆が読者に伝わって来る。ある程度の年齢に

差しかかって、来し方を振り返っての一句である。

それは、〈走馬燈〉と云う季語が長い年月を物語っている。

現在もそして永遠に夫婦でいたいとの願望。

 

その波の源はどこ青葉潮     村木友光(無門集)

 

 
               * * *

龍門集

萬緑といふ一大叙事詩かな    渡辺まさる

第三者たり得ず炎ゆる花うばら  鈴木紀子

くぼみあることぞ完璧梅熟す   若林波留美

 

無門集

止まるも過ぐるもちから半夏生  福井ちゑ子

風鈴や語り継がねばならぬこと  山田都詩

たまねぎや余生も発展途上なり  依田壽子

ハンモック半分風になっている  渡辺智恵

蛍群るきたるべき日の来たやうだ 浅野都

満たされているのに不安新樹光  新井史子

敗戦忌家族九人の箸の音     稲葉明日香

今日やけに島が近いぞ夏の空   かみのみずほ

言い知れぬ不安じっとり汗ばむ掌 後藤宣代

 

山紫集

形代にコロナ菌乗せ流しけり   大平寿江

桜桃忌そうだ粉末ソーダ水    金子和美

鬩ぎ合う強弱居間の扇風機    神尾久雄

伸び代のまだありそうな山登る  国田育子

どくだみのああどこまでも意地っ張り 小金平佳代

そういえば困難はバネ髪洗う   齋院志津子

どこまでも万緑どこまでも駐屯地 嶋野靖子

順番のあるのは素敵花は葉に   白戸麻奈

禁足の身に七変化先ず白く    鈴木浮葉

聞香の汝がおとがひにじっとり汗 鈴木千鶴

利き手執るただそれだけの夏の夜 瀧恒雄

意のままに風を操る青葉かな   土田淳孝

ひもすがら金魚みつめて人に倦む 深沢ふさ江

空豆に星五個あげる夕餉かな   本宮珠江

 

新星集

ペコちゃんのなめらかな舌梅雨に入る 宮澤順子

 

(「紫」2020年9月号・NO.916号より)

 

 

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2020.09.04 Friday 14:42

「紫」2020年9月号・1

「紫」2020年9月号 

 

龍門集より

梅干しの皺の数こそめでたけれ  山崎十生
過客には最もふさはしき泉   

蛇衣を脱ぐとき力みなぎれり



萬緑といふ一大叙事詩かな   渡辺まさる

巨樹大樹ではないけれど青芒

 

得心はここまで梅雨に入ります 鈴木紀子

言語野に紙魚の広がり行く気配


地球儀はコロナ・クルナと風かおる 関口晃代 

マスクして地球儀をまわすかな

 

ぎやまんの壺に目覚めし濃紫陽花 若林波留美 
くぼみあることぞ完璧梅熟す

 

迷はずに水は流るる桜桃忌    森壽賀子
沈黙が答でありし蛍の火

 

 

(「紫」2020年9月号・NO.916号より)

 

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2020.08.14 Friday 15:50

「紫」2020年8月号・2

「紫」2020年8月号

大道無門(「紫」8月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

マネキンの凭れてをりぬ夜の新樹  辻野喜久(新星集) 

 深夜、マネキンが屋外に置かれている構図は、

日常的には見ることはない。しかし、詩の世界では、

リアルにマネキンが木に凭れているということは肯定できる。

何か妖しい光を帯びて新樹に凭れている構図は

別世界のようでもある。マネキンの魂が漂っている。

 

こころざし高く持ちたる余り苗    森壽賀子(龍門集)     

 

人になど触られたくもない毛虫    白戸麻奈(山紫集)

 

蜘蛛囲ひ出口知りたきゃ蜘蛛に聞け 池田ゆふ(新星集)

 中七以下の命令調とも思える措辞に圧倒されてしまった。

一瞬「はい」と応えて直立不動の姿勢になってしまいそうである。

蜘蛛の囲は、どのように張られて行くのか不思議でならない。

蜘蛛自身は、しっかりと自分自身には粘らずに

出口を把握しているのである。

 

数字ではなくて人の死青嵐       渡辺智恵(無門集)

 


               * * *

 

龍門集

万緑という大胆なものがある   渡辺まさる

月日とは光の束よ青田風     鈴木紀子

 

 

無門集

側にいて見守っている余り苗   鳥海美智子

青葉風まなこ閉じればそこは海  西本明未

無駄話のやうでなかなか花菖蒲  村木友光

桜蕊降るゴッホの耳の嘆きほど  山加津子

鉄線花見つめていたのは川の水  依田壽子

なんとしても螢を守る水でゐる  浅野都

氏神の四手ひらひらと黄山吹   新井富江

菖蒲湯のしやうぶ切先研いでゐる 岩切雅人

頼もしい初乳のちから五月晴   久下晴美

それは郭公を待っている朝でした 小林邦子

 

山紫集

指切りの有効期間レース編む   若山一美

バナナ剥く二人のほくろ同じ場所 伊藤伯子

蝸牛それでも前しか見つめない  猪熊みね子

口紅はコーラルピンク風五月   大塚美代子

目の前は池と青葦スクワット   小田島洋子

柿若葉ほどよい距離はこのくらい 齋院志津子

見渡せば筑波の恵み青田風    渋谷芳夫

夫に似て脱ぎっぱなしの竹の皮  下田純子

揺らぐ身を遮るほどの青田風   鈴木千鶴

万緑のさざめく命浴びながら   土田淳孝

神仏のあつまりと言ふ松の蕊   松井寿恵

ハードルの高き雑学風薫     本宮珠江

 

新星集

青嵐引くも進むも躊躇せず    鈴木淑子

朝涼や消毒液をワンプッシュ   永吉洋子

肉汁にまみれるナイフ夏に入る  宮澤順子

 

(「紫」2020年8月号・NO.915号より)

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2020.08.07 Friday 15:23

「紫」2020年8月号・1

「紫」2020年8月号 

 

龍門集より

腹違ひなれど仲良し鯉幟     山崎十生
山女らは釣られる極意究めたり

畏くも蛇穴を出づ朝ぼらけ



春雨の中は吉行淳之介      渡辺まさる

万緑の中に隠れし江藤淳

 

月日とは光の束よ青田風     鈴木紀子

騒めき出す体内時計菖蒲の湯


山又山連なり合うを遙かとゆう  関口晃代 

遙かに山 カールブッセの詩うたう

 

葉脈の香り立ちたるリラ若葉   若林波留美 
午前四時遠き谺のメーデー歌

 

こころざし高く持ちたる余り苗  森壽賀子
ひたすらに守るいのちや柿若葉

 

 

(「紫」2020年8月号・NO.915号より)

 

 

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2020.07.14 Tuesday 17:10

「紫」2020年7月号・2

「紫」2020年7月号

大道無門(「紫」7月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

三・一一再生紙に画鋲      宮澤順子(山紫集) 

 東日本大震災全体というよりも、福島の原発を意識した

〈三・一一〉かと思う。それに〈再生紙に画鋲〉という措辞が、

核融合反応よろしくのイメージを拡散させてゆく、典型的な

二句一章の作品である。その密度が高いほど詩としての

次元も高くなること必定。

 

止まるも求道なりけり滝凍る    宮城留美子(山紫集)     

 

こうなれば我慢の勝負花は葉に   齋院志津子(山紫集)

 新型コロナウイルスだけとは限らない普遍性があるところに、

作者なら作者の強い意思表示が読み取れる。なにがしかの原因が

提示されて、〈こうなれば〉という開き直った姿勢が

窺い知れるのである。短期決着を想定しての〈花は葉に〉である

ことに間違いはない。

 

若葉風加筆修正お断り       浅野都(無門集)

 

竜天に丈は背丈を競ひ合ふ     鈴木千鶴(山紫集)

 


               * * *

 

龍門集

花吹雪アダムとイヴになりました 渡辺まさる

鳥帰る空にもありし波打際    鈴木紀子

人声の絶えし浅草黄砂降る    若林波留美

究極の生き方であるしゃぼん玉  森壽賀子

 

無門集

マスクしてみな平等になりしかな   鳥海美智子

むかしむかし手は足でした春満月   山加津子

春惜しむあの手この手の山と川    依田壽子

完璧といふは散りはじめの桜     渡辺智恵

春の夜のもの言はねどもくすり指   新井富江

フラットな繋がりつづけし霞草    木村成美

採血のとき息止める桜冷え      久下晴美

この世では逢えない人と見る桜    後藤宣代

野火走る自縄自縛を解くように    さとうせつ

 

山紫集

山笑ふおいしい水を作る山      石割ふじ子

石鹸玉再開発といふ高さ       伊藤伯子

脇役に徹してゐたる蜆汁       猪熊みね子

ふらここの遠心力の中に坐す     内田幸彦

逃水は私の影に他ならず       小田島洋子

ムツゴロウ全国的に晴れでしょう   金子和美

春寒し銃でウイルス殺せない     下田純子

丁寧に光閉ぢ込む霜柱        藤井杏華

喉元を過ぎたあたりで花吹雪     藤澤晴美

春愁の一塊として犀眠る       松林杏子

動画から勇気溢るる木の芽時     本宮珠江

 

新星集

目に見えぬものこそ大事亀の鳴く   新井久美

頰杖をついてあれこれ春の雪     一井千恵子

社会的距離大事です松の花      永吉洋子

 

(「紫」2020年7月号・NO.914号より)

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2020.07.06 Monday 16:07

「紫」2020年7月号・1

「紫」2020年7月号 

 

龍門集より

虫穴を出づ行雲も流水も     山崎十生
すれ違ひそれも佳きかな青き踏む

陽炎を漢方薬として処方



春の雲春の海を泳いでる     渡辺まさる

なんとなくドビッシーです朧月

 

鳥帰る空にもありし波打際    鈴木紀子

博愛の証たんぽぽそこら中


水鳥の水に溺れる雅かや     関口晃代 

弄ぶ言語空間花が散る

 

刺ほどの野心はぐくむ弥生尽   若林波留美 
ミクロコスモス星のゆがみに惑ひける

 

陽炎のゆらぎは混沌のはじめ   森壽賀子
全身の力を抜いて青き踏む

 

 

(「紫」2020年7月号・NO.914号より)

 

 

 

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2020.06.26 Friday 11:09

「紫」2020年6月号・2

「紫」2020年6月号

大道無門(「紫」6月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

腹筋を使ってをりぬ蘆の角    鈴木紀子(龍門集) 

 本来なら腹筋を使っているのは人間で、窓外に蘆の角

が見えるというのが常套手段である。しかし、それでは

詩としてのパワーがない。ここは、むしろ葦そのものが

腹筋を鍛えて芽を伸ばしてゆくと捉えた方が、詩としての

次元が高くなるし幅も奥行きも増える。

 

QRコード陽炎の集合体      渡辺智恵(無門集)     

 

際立ちしこととて無きが下萌ゆる   村木友光(無門集)

 特に目だったところはないが、芯はしっかりとしている

人間は多い。「人は見かけによらぬもの」という成語が

あるように、内に秘めたパワーというものは予想を遙かに超えて

驚くほどである。粘りこく前進することが肝要である。

努力してこそ結果がついてくる。

 

バスの中マスクがマスク監視する   石割ふじ子(山紫集)

 

風任せ割れて開眼シャボン玉     宮澤順子(新星集)

 


               * * *

 

龍門集

何もないなんにもないが春岬   渡辺まさる

遠い日の桜吹雪をあびている   関口晃代

やさしといふ根強さよ白すみれ  若林波留美

冴返るなぞは解けないままがいい 森壽賀子

 

無門集

竜天に登るシースルーエレベーター  盒欣子

花ミモザ水晶体を変えました     福島ときみ

フクシマはいつふくしまに原発忌   村木友光

あちこちに防犯カメラ山笑ふ     山加津子

失敗を経験としてつくしんぼ     山田都詩

追憶を辿るきっかけ桃の花      浅野都

長考は机の上に鎮座せり       新井富江

鬼やらひメトロノームが止まらない  稲葉明日香

どこまでも海は青かりビキニの忌   大滝徳美

揺れながら風をほぐしている柳    後藤宣代

 

山紫集

昂ぶりを抑へられずにゐる雛     猪熊みね子

踏青やまだ火の残る間柄       内田幸彦

蝌蚪泳ぐ体全部をバネとして     小田島洋子

風光る配偶者欄「なし」に○     金子和美

給食と体育が好き卒業す       国田育子

蝌蚪の紐今ある私もしかして     齋院志津子

福耳の僧侶の読経梅開く       嶋野靖子

他愛ない時も粮なり日向ぼこ     鈴木千鶴

水音に支へられたる芽木立てり    長谷川昭子

春の泥別に嫌いじゃないけれど    藤澤晴美

相槌は同意にあらず黄水仙      梁瀬みちこ

 

新星集

泣き笑ひ繰り返しては土筆伸ぶ    鈴木淑子

春の闇得体の知れぬ笑ひ声      辻野喜久

 

(「紫」2020年6月号・NO.913号より)

 

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2020.06.12 Friday 10:59

「紫」2020年6月号・1

「紫」2020年6月号 

 

龍門集より

遖はあっぱれと読む更衣      山崎十生
助走など必要もなき蛙かな

逃げ場なきコロナウイルス木木芽吹く



春の海もうこうしてはいられない  渡辺まさる

心中の奥深くには芽吹山

 

開閉のままにならない霧襖     鈴木紀子

信号無視許されてゐる鳥の恋


ブランコよ スミレ・タンポポゆれていた 関口晃代 

遠い日の桜吹雪をあびている

 

言霊の玉のしろがね春の霜     若林波留美 
青空に包まれ睡る西行忌

 

あめつちのふところ深き西行忌   森壽賀子
冴返るなぞは解けないままがいい

 

 

(「紫」2020年6月号・NO.913号より)

 

 

 

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2020.05.11 Monday 18:55

「紫」2020年5月号・2

「紫」2020年5月号

大道無門(「紫」5月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

割り切れぬ余りも答え麦青む    宮澤順子(山紫集) 

 数学的には、ごく当たり前の措辞である。しかし、

俳句は数学ではなく詩である。これは数学に事寄せ、

人生なら人生の喩えとして捉えている。〈余り〉だからと

言って疎かに出来ない。計算が違っていれば答には

ならないのである。日々を大切に生きるのが肝要。

 

水平線信じていない黄水仙      渡辺智恵(無門集)     

 地球平面説ではないが、掲句の場合は水平線を

信じていない人間、あるいは黄水仙そのものが考えられる。

その場合、前者は二句一章、後者は一句一章ということになる。

私としては一句一章で読んだ方が詩としての質量は高いと

思える。常識を越えてこそ詩。

 

水温み何も起こらないのが怖い    森壽賀子(無門集)

 

春雨や各部屋にある電波時計     若山一美(山紫集)

 

残念ながら人に生まれて青き踏む   小林邦子(無門集)

 


               * * *

 

龍門集

冴え返るコロナウイルス日和かな   渡辺まさる

見覚えある木の長廊下白泉忌     鈴木紀子

凍鶴や日本列島直立す        若林波留美

 

無門集

猫のきもち犬のきもち雪が降る    盒欣子

四畳半雪の匂ひのページ繰る     西本明未

杉玉の緑きりりと寒の晴れ      福島ときみ

トルソーの腕の断面春の雷      山加津子

地に足をつけてみたいと雪しきり   依田壽子

流氷のこれほどまでにストイック   浅野都

誕生にも死にも届け雪解川      梅原公子

死に神に勝って晴ればれ達磨市    折原野歩留

歯科医との鬩ぎ合ひあり緑立つ    木村成美

 

山紫集

見落としの画像診断冴返る      吉野日出美

北窓を開けて見送るもののあり    阿部たか志

少年のジャブジャブフック冴返る   伊藤伯子

目に見えぬものこそ要沈丁花     上田洋子

癖もなし裏表なし霜柱        小眄子

片恋と雪の相乗効果かな       金子和美

ウイルスはヒトを恐れず春の闇    小金平佳代

重圧を払ひ給へり今日雨水      齋院志津子

包んだはずが包まれていた春キャベツ 篠原葦

のどけしや紅殻塗のスパゲッティ屋  鈴木千鶴

雪吊りの風に吹かるるばかりなり   土田淳孝

猫の子を撫で告白をためらひぬ    箱森裕美

棺みなシングルなりし寒の菊     深沢ふさ江

モナリザの笑みは慟哭冬桜      宮城留美子

 

新星集

薄氷の深きに揺るるすれ違ひ     池田ゆふ

 

(「紫」2020年5月号・NO.912号より)

 

 

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2020.05.08 Friday 18:30

「紫」2020年5月号・1

「紫」2020年5月号 

 

龍門集より

天敵のいない淋しさ建国日      山崎十生
深呼吸しながら太り行く氷柱

人類忌近くなのかも冴返る



洗いざらひお話しします春隣     渡辺まさる

春隣おひざおくりを願います

 

見覚えある木の長廊下白泉忌     鈴木紀子

立春大吉電話かけてもいいですか


ようこそと眞白き雪をたてまつる   関口晃代 

しんしんと雪音のすべての沈黙す

 

凍鶴や日本列島直立す        若林波留美 
割り切れぬことぞゆかしき水仙花

 

水温み何も起こらないのが怖い    森壽賀子
混沌をのみこむ流氷の軋み

 

 

(「紫」2020年5月号・NO.912号より)

 

 

 

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