2020.07.14 Tuesday 17:10

「紫」2020年7月号・2

「紫」2020年7月号

大道無門(「紫」7月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

三・一一再生紙に画鋲      宮澤順子(山紫集) 

 東日本大震災全体というよりも、福島の原発を意識した

〈三・一一〉かと思う。それに〈再生紙に画鋲〉という措辞が、

核融合反応よろしくのイメージを拡散させてゆく、典型的な

二句一章の作品である。その密度が高いほど詩としての

次元も高くなること必定。

 

止まるも求道なりけり滝凍る    宮城留美子(山紫集)     

 

こうなれば我慢の勝負花は葉に   齋院志津子(山紫集)

 新型コロナウイルスだけとは限らない普遍性があるところに、

作者なら作者の強い意思表示が読み取れる。なにがしかの原因が

提示されて、〈こうなれば〉という開き直った姿勢が

窺い知れるのである。短期決着を想定しての〈花は葉に〉である

ことに間違いはない。

 

若葉風加筆修正お断り       浅野都(無門集)

 

竜天に丈は背丈を競ひ合ふ     鈴木千鶴(山紫集)

 


               * * *

 

龍門集

花吹雪アダムとイヴになりました 渡辺まさる

鳥帰る空にもありし波打際    鈴木紀子

人声の絶えし浅草黄砂降る    若林波留美

究極の生き方であるしゃぼん玉  森壽賀子

 

無門集

マスクしてみな平等になりしかな   鳥海美智子

むかしむかし手は足でした春満月   山加津子

春惜しむあの手この手の山と川    依田壽子

完璧といふは散りはじめの桜     渡辺智恵

春の夜のもの言はねどもくすり指   新井富江

フラットな繋がりつづけし霞草    木村成美

採血のとき息止める桜冷え      久下晴美

この世では逢えない人と見る桜    後藤宣代

野火走る自縄自縛を解くように    さとうせつ

 

山紫集

山笑ふおいしい水を作る山      石割ふじ子

石鹸玉再開発といふ高さ       伊藤伯子

脇役に徹してゐたる蜆汁       猪熊みね子

ふらここの遠心力の中に坐す     内田幸彦

逃水は私の影に他ならず       小田島洋子

ムツゴロウ全国的に晴れでしょう   金子和美

春寒し銃でウイルス殺せない     下田純子

丁寧に光閉ぢ込む霜柱        藤井杏華

喉元を過ぎたあたりで花吹雪     藤澤晴美

春愁の一塊として犀眠る       松林杏子

動画から勇気溢るる木の芽時     本宮珠江

 

新星集

目に見えぬものこそ大事亀の鳴く   新井久美

頰杖をついてあれこれ春の雪     一井千恵子

社会的距離大事です松の花      永吉洋子

 

(「紫」2020年7月号・NO.914号より)

お問合せ:

 

「紫の会」

住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

TEL/FAX   048-251-7923

E-mail

info@haiku-murasaki.jp

( 9:30-20:00 時間外の送信はご遠慮下さい)

 

「俳句スパイス」

 contact@haiku-murasaki.jp

( 24時間:返信には時間のかかることがあります)


2020.07.06 Monday 16:07

「紫」2020年7月号・1

「紫」2020年7月号 

 

龍門集より

虫穴を出づ行雲も流水も     山崎十生
すれ違ひそれも佳きかな青き踏む

陽炎を漢方薬として処方



春の雲春の海を泳いでる     渡辺まさる

なんとなくドビッシーです朧月

 

鳥帰る空にもありし波打際    鈴木紀子

博愛の証たんぽぽそこら中


水鳥の水に溺れる雅かや     関口晃代 

弄ぶ言語空間花が散る

 

刺ほどの野心はぐくむ弥生尽   若林波留美 
ミクロコスモス星のゆがみに惑ひける

 

陽炎のゆらぎは混沌のはじめ   森壽賀子
全身の力を抜いて青き踏む

 

 

(「紫」2020年7月号・NO.914号より)

 

 

 

お問合せ:

「紫の会」

住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

TEL/FAX   048-251-7923

E-mail    info@haiku-murasaki.jp

(受付時間  9:30-20:00 時間外の送信はご遠慮下さい)

 

「俳句スパイス」

 contact@haiku-murasaki.jp

( 24時間受付:返信には時間のかかることがあります)


2020.06.26 Friday 11:09

「紫」2020年6月号・2

「紫」2020年6月号

大道無門(「紫」6月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

腹筋を使ってをりぬ蘆の角    鈴木紀子(龍門集) 

 本来なら腹筋を使っているのは人間で、窓外に蘆の角

が見えるというのが常套手段である。しかし、それでは

詩としてのパワーがない。ここは、むしろ葦そのものが

腹筋を鍛えて芽を伸ばしてゆくと捉えた方が、詩としての

次元が高くなるし幅も奥行きも増える。

 

QRコード陽炎の集合体      渡辺智恵(無門集)     

 

際立ちしこととて無きが下萌ゆる   村木友光(無門集)

 特に目だったところはないが、芯はしっかりとしている

人間は多い。「人は見かけによらぬもの」という成語が

あるように、内に秘めたパワーというものは予想を遙かに超えて

驚くほどである。粘りこく前進することが肝要である。

努力してこそ結果がついてくる。

 

バスの中マスクがマスク監視する   石割ふじ子(山紫集)

 

風任せ割れて開眼シャボン玉     宮澤順子(新星集)

 


               * * *

 

龍門集

何もないなんにもないが春岬   渡辺まさる

遠い日の桜吹雪をあびている   関口晃代

やさしといふ根強さよ白すみれ  若林波留美

冴返るなぞは解けないままがいい 森壽賀子

 

無門集

竜天に登るシースルーエレベーター  盒欣子

花ミモザ水晶体を変えました     福島ときみ

フクシマはいつふくしまに原発忌   村木友光

あちこちに防犯カメラ山笑ふ     山加津子

失敗を経験としてつくしんぼ     山田都詩

追憶を辿るきっかけ桃の花      浅野都

長考は机の上に鎮座せり       新井富江

鬼やらひメトロノームが止まらない  稲葉明日香

どこまでも海は青かりビキニの忌   大滝徳美

揺れながら風をほぐしている柳    後藤宣代

 

山紫集

昂ぶりを抑へられずにゐる雛     猪熊みね子

踏青やまだ火の残る間柄       内田幸彦

蝌蚪泳ぐ体全部をバネとして     小田島洋子

風光る配偶者欄「なし」に○     金子和美

給食と体育が好き卒業す       国田育子

蝌蚪の紐今ある私もしかして     齋院志津子

福耳の僧侶の読経梅開く       嶋野靖子

他愛ない時も粮なり日向ぼこ     鈴木千鶴

水音に支へられたる芽木立てり    長谷川昭子

春の泥別に嫌いじゃないけれど    藤澤晴美

相槌は同意にあらず黄水仙      梁瀬みちこ

 

新星集

泣き笑ひ繰り返しては土筆伸ぶ    鈴木淑子

春の闇得体の知れぬ笑ひ声      辻野喜久

 

(「紫」2020年6月号・NO.913号より)

 

お問合せ:

「紫の会」

住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

TEL/FAX   048-251-7923

E-mail

info@haiku-murasaki.jp

( 9:30-20:00 時間外の送信はご遠慮下さい)

 

「俳句スパイス」

 contact@haiku-murasaki.jp

( 24時間:返信には時間のかかることがあります)


2020.06.12 Friday 10:59

「紫」2020年6月号・1

「紫」2020年6月号 

 

龍門集より

遖はあっぱれと読む更衣      山崎十生
助走など必要もなき蛙かな

逃げ場なきコロナウイルス木木芽吹く



春の海もうこうしてはいられない  渡辺まさる

心中の奥深くには芽吹山

 

開閉のままにならない霧襖     鈴木紀子

信号無視許されてゐる鳥の恋


ブランコよ スミレ・タンポポゆれていた 関口晃代 

遠い日の桜吹雪をあびている

 

言霊の玉のしろがね春の霜     若林波留美 
青空に包まれ睡る西行忌

 

あめつちのふところ深き西行忌   森壽賀子
冴返るなぞは解けないままがいい

 

 

(「紫」2020年6月号・NO.913号より)

 

 

 

お問合せ:

「紫の会」

住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

TEL/FAX   048-251-7923

E-mail    info@haiku-murasaki.jp

(受付時間  9:30-20:00 時間外の送信はご遠慮下さい)

 

「俳句スパイス」

 contact@haiku-murasaki.jp

( 24時間受付:返信には時間のかかることがあります)


2020.05.11 Monday 18:55

「紫」2020年5月号・2

「紫」2020年5月号

大道無門(「紫」5月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

割り切れぬ余りも答え麦青む    宮澤順子(山紫集) 

 数学的には、ごく当たり前の措辞である。しかし、

俳句は数学ではなく詩である。これは数学に事寄せ、

人生なら人生の喩えとして捉えている。〈余り〉だからと

言って疎かに出来ない。計算が違っていれば答には

ならないのである。日々を大切に生きるのが肝要。

 

水平線信じていない黄水仙      渡辺智恵(無門集)     

 地球平面説ではないが、掲句の場合は水平線を

信じていない人間、あるいは黄水仙そのものが考えられる。

その場合、前者は二句一章、後者は一句一章ということになる。

私としては一句一章で読んだ方が詩としての質量は高いと

思える。常識を越えてこそ詩。

 

水温み何も起こらないのが怖い    森壽賀子(無門集)

 

春雨や各部屋にある電波時計     若山一美(山紫集)

 

残念ながら人に生まれて青き踏む   小林邦子(無門集)

 


               * * *

 

龍門集

冴え返るコロナウイルス日和かな   渡辺まさる

見覚えある木の長廊下白泉忌     鈴木紀子

凍鶴や日本列島直立す        若林波留美

 

無門集

猫のきもち犬のきもち雪が降る    盒欣子

四畳半雪の匂ひのページ繰る     西本明未

杉玉の緑きりりと寒の晴れ      福島ときみ

トルソーの腕の断面春の雷      山加津子

地に足をつけてみたいと雪しきり   依田壽子

流氷のこれほどまでにストイック   浅野都

誕生にも死にも届け雪解川      梅原公子

死に神に勝って晴ればれ達磨市    折原野歩留

歯科医との鬩ぎ合ひあり緑立つ    木村成美

 

山紫集

見落としの画像診断冴返る      吉野日出美

北窓を開けて見送るもののあり    阿部たか志

少年のジャブジャブフック冴返る   伊藤伯子

目に見えぬものこそ要沈丁花     上田洋子

癖もなし裏表なし霜柱        小眄子

片恋と雪の相乗効果かな       金子和美

ウイルスはヒトを恐れず春の闇    小金平佳代

重圧を払ひ給へり今日雨水      齋院志津子

包んだはずが包まれていた春キャベツ 篠原葦

のどけしや紅殻塗のスパゲッティ屋  鈴木千鶴

雪吊りの風に吹かるるばかりなり   土田淳孝

猫の子を撫で告白をためらひぬ    箱森裕美

棺みなシングルなりし寒の菊     深沢ふさ江

モナリザの笑みは慟哭冬桜      宮城留美子

 

新星集

薄氷の深きに揺るるすれ違ひ     池田ゆふ

 

(「紫」2020年5月号・NO.912号より)

 

 

お問合せ:

「紫の会」

住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

TEL/FAX   048-251-7923

E-mail

info@haiku-murasaki.jp

( 9:30-20:00 時間外の送信はご遠慮下さい)

 

「俳句スパイス」

 contact@haiku-murasaki.jp

( 24時間:返信には時間のかかることがあります)


2020.05.08 Friday 18:30

「紫」2020年5月号・1

「紫」2020年5月号 

 

龍門集より

天敵のいない淋しさ建国日      山崎十生
深呼吸しながら太り行く氷柱

人類忌近くなのかも冴返る



洗いざらひお話しします春隣     渡辺まさる

春隣おひざおくりを願います

 

見覚えある木の長廊下白泉忌     鈴木紀子

立春大吉電話かけてもいいですか


ようこそと眞白き雪をたてまつる   関口晃代 

しんしんと雪音のすべての沈黙す

 

凍鶴や日本列島直立す        若林波留美 
割り切れぬことぞゆかしき水仙花

 

水温み何も起こらないのが怖い    森壽賀子
混沌をのみこむ流氷の軋み

 

 

(「紫」2020年5月号・NO.912号より)

 

 

 

お問合せ:

「紫の会」

住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

TEL/FAX   048-251-7923

E-mailinfo@haiku-murasaki.jp

(受付時間  9:30-20:00 時間外の送信はご遠慮下さい)

 

「俳句スパイス」

 contact@haiku-murasaki.jp

( 24時間受付:返信には時間のかかることがあります)


2020.04.13 Monday 14:05

「紫」2020年4月号・2

「紫」2020年4月号

大道無門(「紫」4月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

あらたまの月の光を浴びる行    渡辺まさる(龍門集) 

 掲句の下五を「浴びに行く」と収めてしまっては、

只事俳句でしかない。「行く」のではなく「行(ぎょう)」と

する事で作品の次元が高くなる。この辺の言葉の転換を

会得すると、俳句の醍醐味に魅了されるに違いない。

俳禅一昧を想わせる佳汁であろう。

 

霜柱己律してゐたりけり      渡辺智恵(無門集)     

 

休ませていただきますと滝凍てる  岡嶋澄子(無門集)

 一年の中、大半を何も言わずに滝から水は流れ落ちる。

それが厳寒期になれば凍って、あたかも休眠しているかの

ようである。しかし、実態は違っていて川の水が塞き止め

られている訳ではない。川自体は不眠不休で、滝は氷柱の

原理で凍ってゆくのである。

 

からまつの彼方ダイヤモンドダスト 福島ときみ(無門集)

 

洗ひ晒しの空に紛れず風花す    西本明未(無門集)

 


               * * *

 

龍門集

またぞろの安全神話霜柱       鈴木紀子

冬晴を賜り比良坂への助走      若林波留美

一途さが取り柄なのですかいつぶり  森壽賀子

 

無門集

誇りある孤独なりしか寒満月     藤井とし子

寒林やゼロにゆきつく数え方     山加津子

冬温き記憶ばかりや糸車       依田壽子

狼の遠吠え荒々しきは凍星      新井富江

素といふは斯くも芳し初鏡      大滝徳美

凍てきれぬ声しぼりつつ落つる滝   かみのみずほ

透明なファイルに挟む初神籤     久下晴美

ひとりでに列の整ふ初日の出     後藤宣代

 

山紫集

独楽廻るよく廻ってるほど静か    若山一美

痛そうに空晴れわたる枯野かな    石割ふじ子

初富士を正客とする橋の上      伊藤伯子

さりとても気負ふことなく冬木の芽  大塚美代子

心根の真っ直ぐなまま露凝る     国田育子

神木のほのかに香る手斧始      国松洋子

人のためいえ違うよね福寿草     齋院志津子

初詣あなたは偏で私は旁       下田純子

ちょっとした別れのためにザボン喰う 白戸麻奈

人想ふ雪見灯籠なりしかな      鈴木千鶴

冬の川数息は常に平なる       土田淳孝

空っぽになれずひたすら毛糸編む   長谷川昭子

アポなしで降りてきたのか初雪    藤澤晴美

風信子グラスの底のひかりかな    本宮珠江

 

新星集

野水仙わからないからこそできる   宮澤順子

土塊にしがみ付きたる冬菜引く    田中和子

 

(「紫」2020年4月号・NO.911号より)

 

お問合せ:

「紫の会」

住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

TEL/FAX   048-251-7923

E-mail

info@haiku-murasaki.jp

( 9:30-20:00 時間外の送信はご遠慮下さい)

 

「俳句スパイス」

 contact@haiku-murasaki.jp

( 24時間:返信には時間のかかることがあります)


2020.04.06 Monday 15:09

「紫」2020年4月号・1

「紫」2020年4月号 

 

龍門集より

湯たんぽも我れを頼りにしてゐたり  山崎十生
鏡餅水平線と同じ位置

灯明を点け七種を祝ひけり



能楽堂スピルバーグの宇宙船     渡辺まさる

サイレンが鳴ります今年終わります

 

またぞろの安全神話霜柱       鈴木紀子

来し方や旅愁のやうに海鼠噛む


これやこの朱の盃のめでたさよ    関口晃代 

しみじみとほろほろと屠蘇の膳

 

結界の竹ゆらぎける初茜       若林波留美 
木簡の起筆まろやか初日出づ

 

一途さが取り柄なのですかいつぶり  森壽賀子
転生のために浴びたる寒月光

 

 

(「紫」2020年4月号・NO.911号より)

 

 

 

お問合せ:

「紫の会」

住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

TEL/FAX   048-251-7923

E-mail

info@haiku-murasaki.jp

(受付時間  9:30-20:00 時間外の送信はご遠慮下さい)

 

「俳句スパイス」

 contact@haiku-murasaki.jp

( 24時間受付:返信には時間のかかることがあります)


2020.03.06 Friday 15:58

「紫」2020年3月号・2

「紫」2020年3月号

大道無門(「紫」3月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

洗つても落ちない目鼻雪もよひ  山加津子(無門集) 

 禅の言葉に「平常心是道」「眼横鼻直」がある。

当たり前のことを当たり前と享受することの難しさを説いている。

道元にしても、そのことが解るまで多くの歳月を要したのである。

顔を洗ったあとの凛とした感覚を〈雪もよひ〉と感取したところに

真骨頂がある。

 

初しぐれ勝に繋がる歩であらう  浅野都(無門集)     

 将棋で最高の駒は王であり、最下位の駒は歩である。

さまざまな駒を使い相手をギブアップさせるのだ。

最下位の歩であっても疎かに出来ない。

歩を上手く使うことが勝ちにつながる。

人生でも、このこのことは言えることで肝に銘じたい。

 

地下鉄に勾配のあり去年今年   伊藤伯子(山紫集)

 

ポケットに半券の余韻冬銀河   高橋姜子(山紫集)

 

欺されたふりして囲むおでんかな 嶋野靖子(山紫集)

 


               * * *

 

龍門集

踏み止まれそうこの冬空の青さなら   鈴木紀子

異議なしといふは怖ろし滝凍てず    若林波留美

淡海をわがもの顔の浮寝鳥       森壽賀子

 

無門集

十二月八日しづかに米を研ぐ      福島ときみ

霜柱身を立て直す真っ最中       村木友光

味はへば乙な孤独や酉の市       渡辺智恵

沈黙のそこが恐いよ毛糸編む      稲葉明日香

ひとりづつ部屋ある事の寒さかな    折原野歩留

今なにが出来るのだらうペチカ燃ゆ   木村成美

すれ違ふだけの関係冬の風       後藤宣代

この窓は開きません十二月八日     小林邦子

 

山紫集

自力では解けぬ束縛枯かずら      梁瀬みちこ

嘘と黙似て非なるかな初氷       若山一美

このタイミングだったのか虎落笛    猪熊みね子

細き指誰に似たのか石蕗の花      上田洋子

潔白を立証せんと大根切る       大平寿江

極月や魚は向きを変へたがる      久下晴美

開戦日そ知らぬ顔の人数多       小金平佳代

欺されている方が楽虎落笛       椎名和夫

左手で右手の爪を冬ざるる       篠原葦

窮極の一品ならむ紙懐炉        鈴木千鶴

霜夜終はらぬ息確かめて眠らねば    箱森裕美

浮き寝鳥水を沈めて水に浮く      深沢ふさ江

折鶴のみな凍鶴になる気配       松林杏子

 

新星集

当り前なれど難しや漱石忌       池田ゆふ

余白無き冬の星座や砂時計       盒局匯

白菜の縛られてより増す密度      辻野喜久

 

(「紫」2020年3月号・NO.910号より)

お問合せ:

「紫の会」

住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

TEL/FAX   048-251-7923

E-mail

info@haiku-murasaki.jp

( 9:30-20:00 時間外の送信はご遠慮下さい)

 

「俳句スパイス」

 contact@haiku-murasaki.jp

( 24時間:返信には時間のかかることがあります)


2020.03.02 Monday 19:13

「紫」2020年3月号・1

「紫」2020年3月号 

 

龍門集より

白鳥を紡がむとして佇ちにけり    山崎十生
凍滝の純度を保ちつつ躄る

十二月八日桜とふ字の怖し



虎落笛あれは身の上話です      渡辺まさる

木枯のよんどころなく曲りけり

 

踏み止(とど)まれそうこの冬空の青さなら 鈴木紀子

柚子は黄に過去がどんどん丸くなる


それぞれの色の合唱草紅葉       関口晃代 

にぎやかにそして静かに草紅葉

 

つちくれのひそかなゆらぎ夕枯野     若林波留美 
しづもれる微熱の星や冬紅葉

 

淡海をわがもの顔の浮寝鳥           森壽賀子
ゆるぎなき遊びごごろや枯尾花

 

 

(「紫」2020年3月号・NO.910号より)

 

 

 

 

 

お問合せ:

「紫の会」

住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

TEL/FAX   048-251-7923

E-mail

info@haiku-murasaki.jp

(受付時間  9:30-20:00 時間外の送信はご遠慮下さい)

 

「俳句スパイス」

 contact@haiku-murasaki.jp

( 24時間受付:返信には時間のかかることがあります)


<<new | 1 / 20pages | old>>
 
CALENDAR
NEW ENTRY
ARCHIVES
CATEGORY
COMMENT
PROFILE
MOBILE
LINK
RECOMMEND
SEARCH
OTHER

(C) 2020 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.