一般的・伝統的に「有季(季語を含む)・定型(五・七・五の韻律)」は俳句の基本と言われています。句会では「当季(とうき)」といって、句を詠むその時の季節が大切な要素となります。晩秋の今ならせいぜい仲秋〜初冬の句を詠むのが普通で、まず間違っても春や真夏の句を詠んだりはしません。(どんな場合にも例外はありますが)
ところが「今月の紫」をご覧いただくとわかるように、10月の今、どの俳句雑誌や結社誌を見ても大半は初夏から盛夏の句が満載です。これは雑誌の編集や印刷の都合によるものですが、このタイムラグは季節を大切にしている俳句にとっては相当なジレンマです。
そこで一年遅れとはなりますが、今の季節にあった句と鑑賞を「去年の紫」として折々に紹介してゆきたいと思います。