2016.03.25 Friday 11:23

作句のための 抜書き「旧仮名遣ひ」6

作句のための 抜書き「旧仮名遣ひ」(6) 若林波留美

〈「じ」と「ぢ」の使い分け〉

 前回の「ず」と「づ」の使い分けと説明が重複する部分がありますが、「じ」と「ぢ」の使い分けについて述べます。

◎打ち消しの推量・意思などを表す助動詞は「じ」・「まじ」と書く。

 例 負けじ・あるまじき・笑ふまじ

 前回、否定を表す助動詞は「ず」と書く、と述べましたが、今回の「じ」「まじ」も同じザ行と覚えて下さい。

◎サ行変格活用「為(す・する)」を元とする語は、「じ」「ず」と書く。

 例 感じる(感ず)・信じる(信ず)・甘んじる(甘んず)

 体言や漢語などを動詞化するときに用いる「す・する」(例・愛す)が、上の音(おん)との関連で濁音化したものですから、ザ行の仮名を用いるのは当然です。

◎連濁による「じ」と「ぢ」
 連濁については前回述べましたので、説明は省きますが、例を挙げると次のような語があります。

○連濁による「じ」の例
 いたじき(板+敷)・たてじま(縦+縞)・てじな(手+品)・まなじり(目+後(しり))・わらひじわ(笑+皺)

○連濁による「ぢ」の例
 いへぢ(家+路)・ちぢ(千々)・はなぢ(鼻+血)・みぢか(身+近)・むそぢ(六十路)・もらひぢち(貰+乳)
 
◎ダ行活用の語は「ぢ」(「づ」)と書く。
 前回と重複しますが、「怖(お)づ・閉づ・綴(と)づ・恥づ・攀づ」はダ行活用の語です。(「ぢ・ぢ・づ・づる・づれ・ぢよ」と活用)特に「恥づ」「閉づ」はよく使われる語ですので、覚えて下さい。名詞化した場合「はぢ」「とぢ」となります。
 (「出づ・撫づ・愛(め)づ」もダ行活用 ー 前回既出)

◎その他の「じ」と「ぢ」を用いる語では、「じ」と書く語の方が多い。従って「ぢ」と書く語の方に注意して下さい。

○「じ」と書く例(特に「ぢ」と紛らわしい語例)
 くじ(籤)・さじ(匙)・つじ(辻)にじ(虹)・にじむ(滲む)・みじかい(短い)・みじろぐ(身じろぐ)

○「ぢ」と書く主な例
 あぢ(味・鰺)・あぢさゐ・すぢ(筋)・ちぢみ(縮)・なめくぢ・なんぢ(汝)・ひぢ(肘)・ふぢ(藤)・もみぢ(紅葉)・わらぢ(草鞋)
 いぢる・いぢらしい・けぢめ・ぢかに・ぢきに・ねぢる・よぢれ
 
 なお、原則として国語仮名遣いの語例を挙げましたが、藤(ふぢ)に対し富士(ふじ)は「士」の字音仮名遣いとなります。

 ところで、新仮名遣いでは、字音仮名遣いとしての「ぢ」が抹殺され、「じ」にされた例があります。例えば「大地」の地が「地面」では「じめん」となり、「治安」の治が「明治」では「めいじ」になってしまいました。「心中を察する」の中が「心中事件」では「しんじゅう(この部分新仮名遣い)事件」です。
 「旧仮名遣ひ」では、こうした不思議な例はありません。

(「紫」2009年2月号より転載)

紅梅



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