2016.04.22 Friday 11:24

作句のための 抜書き「旧仮名遣ひ」7

作句のための 抜書き「旧仮名遣ひ」(7) 若林波留美
 
〈「お・を・ほ」の使い分け〉
 新仮名遣いでワ行の「を」を用いるのは、助詞の「を」のみですが、「旧仮名遣ひ」では「オ」の音を表す文字として「お・ほ・を」が用いられます。その使い分けの原則を挙げると、次のようになります。

◎「オ」の音が語頭にあるときは主として「お」と書き、語中・語尾にあるときは主として「ほ」と書く。

特定の語については、語頭及び語中・語尾の「オ」音に「を」を用いる。
 言い換えれば、語頭に用いるのは「お」又は「を」で、「お」の方が多く、語中・語尾に用いるのは「ほ」又は「を」で、「ほ」の方が多いということです。
 また、「お」と「を」の使い分けについて、次のような面白い特徴があります。

大きい「お」と、小さい「を」
 ●強大・年長などの意味を含む語には「お」を用いる。
〔 例 〕 おほきい(大きい)・おほい(多い)・おほやけ(公)・おきな(翁)・おうな(媼)・おい(老い)
   
 ●弱小・若年などの意味を含む語には「を」を用いる。
〔 例 〕をがは(小川)・を(尾・緒)・をさない(幼い)・をとこ(男)・をんな(女)・をとめ・をつと(夫)
 「老い」と「幼い」などは対で覚えると良いでしょう。

◎その他「を」を用いる語の例
 をる(居る)・をる(折る)・をはる(終)・をしへ(教)・あを(青)・うを(魚)・かをる(香・薫)・とを(十)
 なお、「降る・織る」は「お」を用います。紛らわしい「織る」と「折る」の使い分けについては、先の「大きい・小さい」の決まりを思い出し、「織るほどに大きくなる→お」「折るほどに小さくなる→を」と覚えたらいかがでしょう。

◎語中・語尾の「オ」音に「ほ」を用いる語の例
 いとほしい・いはほ(巌)・うしほ(潮)・おほかた(大方)・おほせ(仰せ)・おほふ(覆ふ)・こほり(氷)・こほろぎ(蟋蟀)・とほい(遠い)・とほり(通り)・なほ(尚)・にほふ(匂ふ)・ほほ(頬)・ほのほ(炎)
 「頬」の語は、「頬杖・頬紅」などでは「ホオ」と発音しますが、単独で「頬」と言うときや「頬笑む」と言うときなどは、今でも「ホホ」と発音します。古くは「ホ」と発音していた名残が伝わる語と言えるでしょうか。

◎語中に「お」を用いる語は「はおり(羽織)」の一語のみ
 言うまでもないことでしょうが、複合語の場合は、元の語が「お」を語頭に用いていれば、語中でも「お」となります。
〔 例 〕うまおひ(馬+追ひ)・みやこおち(都+落ち)

 なお、「オ」と発音する表記には「あふげばたふとし(仰げば尊し)」のように、「ふ」と書く例もあります。
 また字音仮名遣いとしては、「わうごん(黄金)・わうさま(王様)」のように、「わ」を用いる語もあります。
 本来漢字で書かれる語を、あえて仮名書きするときは、辞書で確かめてください。

(「紫」2009年3月号より転載)

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