2016.05.27 Friday 11:25

作句のための 抜書き「旧仮名遣ひ」8

作句のための 抜書き「旧仮名遣ひ」(8) 若林波留美
 
〈「は・わ」「やう・よう」の使い分け〉

 1「ワ」と発音する「は」と「わ」の使い分け

助詞の「は」や、ハ行活用動詞の「は」(例えば「思はず」の「は」)の他に、「ワ」の音を「は」と表記する語があります。その使い分けの原則は、次のとおりです。

◎「ワ」の音が語頭にあるときは全て「わ」と書き、語中・語尾にあるときは主として「は」と書く。

特定の語については、語中・語尾の「ワ」音を「わ」と書く。

○語中・語尾に「わ」を用いる語の例
 あわ(泡)・あわてる(慌てる)・いわし(鰯)・うわる(植わる)・かわく(乾く)・ことわり(理・断り)・こわね(声音)・さわぐ(騒ぐ)・しわ(皺)・すわる(坐る)・たわむ(撓む)・よわい(弱い)

○語中・語尾に「は」を用いる語の例(仮名書きが多い語を優先)
 あは(粟)・あはい(淡い)・あはれ(哀れ)・いは(岩)・うつは(器)・うはべ(上辺)・かたはら(傍)・かは(川)・きは(際)・けはしい(険しい)・さはやか(爽か)・たはら(俵)・つはもの(兵)・とは(永遠)・にはか(俄)・まはり(回り)・よはひ(齢)・をはり(終)

 尚、複合語の場合は、元の語が「わ」であれば、語中・語尾でも「わ」を用います。

例 うちわ(内輪)・くつわ(轡)・くるわ(廓)・ことわざ(諺)・のわき(野分)

2「ヨウ」と発音する「やう」と「よう」の使い分け

 この使い分けの例文として、次の文があります。

○見やう見真似でやつて見よう
○この問題をどうしようかと思つたが、どうしやうも無かつた。

 「やう」と書く方は、様(やう)の字音仮名遣いで、〜の如く、〜のさまに、という意味になります。例文に漢字を当てれば、見様・仕様となり、「見し如く」「行ふ(為(す)・仕)さま」と言い換えられます。
 「よう」と書く方は助動詞で、文語表現に置き換えれば、「せむ」「む」と言い換えられます。

 先の例文を、文語表現に置き換えてみます。

○見し如く見真似をし、やつて見む。
○どうせむかと思ひしが、どう為(す)るさま(方法)も無かつた。

 これを逆に当てはめると、文として意味が通りません。
 「やう」の方は、「このやうな」「次のうやうに」などと、しばしば文中に仮名書きで用いられるため、本来は字音仮名遣いなのですが、国語仮名遣いの中に融け込んでしまいました。使用頻度も「やう」の方が多いため、助動詞の「よう」を誤って「やう」と書いてしまう例があります。

 話し手の推量・意思を表す助動詞の「よう」を「やう」と書かないやう(書かぬ様ー様の字を当てて収まれば「やう」)ご注意下さい。(実は私も以前、書き誤りました。)
 なお、「やうやく春が来た」などの「やうやく」は、『広辞苑』によれば、「除・漫」の訓の「ややく」、又は「漸々」の訓の「やくやく」の転とされております。

(「紫」2009年4月号より転載) 

短冊展

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