2017.04.21 Friday 12:54

俳句つれづれ

俳句つれづれ 第9回 「星野立子」

 

鳥海美智子

 

 ままごとの飯もおさいも土筆かな  

 

 初めて読んだ時「俳句って、こんなにやさしくて良いの」と思った。

俳句を始めて30数年、この一見すると簡単で優しい句を作ることが、

いかに難しい事であるか骨身に沁みている。

掲句は樹子23歳、父虚子に勧められてはじめて作った俳句である。

 

 しんしんと寒さがたのし歩みゆく

 

 大仏の冬日は山に移りけり

 

 昃(ひかげ)れば春水の心あともどり

 

 いつの間にがらりと涼しチョコレート

 

 暁は宵より淋し鉦叩

 

 

 立子第1句集「立子句集」は昭和12年に刊行された。

23歳から34歳までの句集である。

虚子はこの句集の序文を記しているが、現代にも通じる

「写生の心」と思い抜粋する。

 

 ・・・自然の姿をやはらかい心持で受け取ったままに諷詠するといふことは

立子の句に接してはじめて之(これ)ある哉(かな)といふ感じがした。

写生といふ道をたどって来た私はさらに写生の道を立子の句から教はったと

感ずることもあったのである。それは写生の目といふことではなくて

写生の心といふ点であった。其(その)柔かい素直な心はややもすると、

硬くならうとする老の心に反省をあたへるのであった。

 

 美しき緑走れり夏料理

 

 囀りをこぼさじと抱く大樹かな

 

 わたしの大好きな句である。

人間中心でない価値観、人も他の生物も宇宙の流れの中の一つにしかすぎないと

いふ俳句観、「俳句は極楽の文学でなければならぬ」といふ虚子の主張は年齢と

ともに理解出来るようになった。

立子の素直な心でおおらかな俳句は俳句の楽しさと勇気を与えてくれる。

 

 

(「紫」無門集同人)

 

つくばい

 

 

 

 

 

 


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