2017.06.20 Tuesday 09:45

俳句つれづれ

俳句つれづれ 第11回 「細見綾子」

 

鳥海美智子

 

 

 ふだん着でふだんの心桃の花   綾子  

 

 「『教科書の俳句の中で一番好きな俳句は』というアンケートに

一番に人気があった」という一文で、作者細見綾子を知った。

綾子の句はあくまでも自然に寄り添い、その中で生きている姿を描き、

自我はない。

 俳人は概ね同じであるが女性俳人、特に綾子は第1句集で自己が完結している。

素直な心から生まれた単純平明な俳句は90才で亡くなるまで変わらなかった。

 

 

 そら豆はまことに青き味したり

 

 でで虫が桑で吹かるる秋の風

 

 冬になり冬になりきってしまはずに

 

 つばめつばめ泥が好きなる燕かな

 

 きさらぎが眉のあたりに来る如し

 

 作者の自解では「二月が来る。眉の辺りに《きさらぎ》という

言葉のさわやかさを感じた」という感性は鋭い。

 

 

 鶏頭を三尺離れもの思う

 

 寒卵二つ置きたり相寄らず

 

 上の2句は同じ空気は吸っているが、距離感があり、常に自立している

作者が良く出ている

 

 

 木綿縞着たる単純初日受く

 

 「ふだん着で」の句から約30年後に詠んだ句であるが、

「正月に私は毎年、木綿縞の着物を着る。(中略)縞というものの

 単純さ、手織りの手触りのある単純さがわたしは欲しいのである。」と

のべている。

 

 

 女身仏に春剥落のつづきをり

 

 これは綾子の代表句である。

「遠いいつからか剥落しつづけ現在も今目の前に剥落し続けている。

生々しさ、もろさ、生きた流転の時間、それ等はすべて新鮮そのものだった。」

とあとがきに書いている。

 

 

 再びは生まれ来ぬ世か冬銀河

 

 何事にも執着しない人であった。

 

 

(「紫」無門集同人)

 

みかんの盆栽

 

 

 

 

 

 

 


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