2019.02.11 Monday 19:52

「紫」2019年2月号・2

「紫」2019年2月号

大道無門(「紫」2月号抄)    山崎十生 選・評
 

おそらくはあをくて固い露の心  渡辺智恵(無門集) 

 句会での初見では「露の芯」であったような気がする。

語源をたどってゆけば、体の中心や心臓ということになるので

「露の心」と推敲した作者に拍手を送りたい。透明であるのにも

拘わらず白というイメージが強い露の奥深いところには

厳然と青のイメージがあろう。

 

ひかりから形にもどる木の実独楽 深沢ふさ江(山紫集)     

 木の実独楽に限らず独楽の類は、スムーズな回転をしてる時は、

原型がまるで解らない。まさに「光」が回っているとしか思えない。

しかし、回転が少しずつ鈍ったり、静止したりすると形というものが

顕現する。この作品は単なる描写の域を超越している。

 

照紅葉みんなで道を間違へる   伊藤伯子(山紫集)

 

交番に草の実一つ付いてきた   盒欣子(山紫集)

 

赤の言い分を聞いている白い息  小林邦子(無門集)

 


               * * *

 

龍門集

 

星空を微分している夜露かな       渡辺まさる 

風狂を貫き通すかいつぶり        森壽賀子

 

無門集

阿も吽紅葉に途を塞がれし        岩切雅人

そのすべて秘むる掌中息白し       大滝徳美

散り紅葉池上に案内し風離る     かみのみずほ

群れてなほ淋しきものに芒原       斎藤久子

プチ旅行枯葉一枚土産とす       早乙女文子

凍てるまで滝という名の水でした    鳥海美智子

この空に指揮とる落葉水の音      藤井とし子

花野風いちばん先にいる不安      山加津子

生き方は変えられないと言う大根     依田壽子

黄落や地球が浮いている限り       新井富江

 

 

山紫集

決断を迫られてゐる露の玉        藤井杏華

微力とて無力ではなし草の花       宮城留美子

実南天石には石の楔あり         村木友光

コスモスの白さはどこまでも白い     森田重子

愛さなきゃいいだけのこと蔦紅葉     山根摩耶

地球は丸いと知った草の絮        石割ふじ子

おほぞらへ凭るる銀杏黄葉かな      猪熊みね子

参道の屋号いろいろ残り柿        椎名和夫

宿房の名残をとどめ柚子は黄に      嶋野靖子

悲しみに身動きできぬ胡桃かな      白戸麻奈

凩やそこを枉げては通せぬか       鈴木千鶴

迷いなく貫ききった蔦紅葉        土田淳孝

蟷螂の目まで枯れんと宙見据う      仁村俊子

 

新星集

茶の花や角のパン屋は定休日       城口弘子

コスモスの揺れて立ち位置定まらず    大庭英雄

 

(「紫」2019年2月号・NO.897号より)

 

 

 

 


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