2019.10.21 Monday 19:38

「紫」2019年10月号・2

「紫」2019年10月号

大道無門(「紫」10月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

髪洗いつつ作戦を練っている     福島ときみ(無門集) 

 

尺蠖の成し遂げやうとする一歩    浅野都(無門集)     

 あの独特の動き方をする尺蠖虫でさえも、

はじめの一歩には、相当な覚悟と事精神力を求められる。

それは、尺蠖虫だけに限らず人間に於いても、同じ様なことが

言える。身を山なりにして踏み出そうとする一歩に

己自身をかけているのだと思える。

 

同門であったかほうたると私     金子和美(山紫集)

 

丸く収まり青花の鉢に冷奴      小林邦子(無門集)

 

メモ書きに汗が滲んでをりにけり   岡嶋澄子(無門集)

 何のメモ書きだかは解からない。急を要するメモなのかも知れない。

本人ではなく、他者の場合、身近な夫とすると買い物を頼まれての

メモということも考えられる。慣れない買い物だから、

緊張して汗を掻いている景とも取れる。急を要するメモなら

一層のことである。


               * * *

 

龍門集

いのちとは谷間の白き百合の花      渡辺まさる

なめくじり通ったあとの深轍       鈴木紀子

沈黙の万緑こそはおそろしい       関口晃代

 

無門集

噴水の吹き上げる刻邪念なし       小林敏子

古民家の孑孒すこぶる嬉々として     斉藤順

失ひし大きさを知る遠花火        斎藤久子

神官の大きな鍵や山開き         盒欣子

桐の花空は誰にも犯されず        福井ちゑ子

末っ子はそつなく生きるラムネ玉     村木友光

蜘蛛の囲の真ん真ん中という孤独     渡辺智恵

秘めごとの一つや二つ水中花       稲葉明日香

いちはつはすでに夜明けを告ぐ構へ    大滝徳美

 

山紫集

真っ直ぐにしか物言えぬ水羊羹      本宮珠江

攻めと守りぐんぐん伸びる夏の草     若山一美

はつらつと水切るあごの行き処      池田惠

夕焼や犬のうしろをついて行く      伊藤伯子

カルピスの水玉模様梅雨明けだ      国松洋子

太陽がいっぱいの甕蓮ひらく       篠田日織

蚊とんぼやピッチャーひとり熱視線    篠原葦

急いでも変わらぬ距離を急ぐ蟻      嶋野靖子

梅雨滂沱天水桶の不動なり        鈴木千鶴

水母にもあらがふ意志のありにけり    土田淳孝

失恋は羽化の前ぶれ浮いてこい      藤沢晴美

 

新星集

もてなしは竹の器と青田風        辻野喜久

冷奴柔に見ゆとも侮るな         城口弘子

さよならの今がしほどき古団扇      鈴木淑子

 

 

(「紫」2019年10月号・NO.905号より)

 

 

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住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

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