2019.11.04 Monday 12:26

「紫」2019年11月号・2

「紫」2019年11月号

大道無門(「紫」11月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

炎天を行くのっぺらぼうの群れ    後藤宣代(無門集) 

 あまりの暑さに気を失ってしまいそうになる。

ふだんは、精気に満ち満ちた表情で街を歩いているのだが、

まるで無表情ののっぺらぼうよろしく、人間が歩いている。

歩いていると言うよりも漂っているかの如く炎天下を

彷徨っている。幻想的な一句となった。

 

終戦日忘れ上手な人ばかり      椎名和夫(山紫集)     

 

ほんたうは沈んでゐたい浮いて来い  渡辺智恵(無門集)

 「浮いて来い」という季語には、単に水に浮かべるだけの

玩具もあるが、筒に沈めて浮いたり沈んだりする方が趣がある。

本来は、浮いてこそ使命を達成する。しかし、浮きたくないと

思うのも一理ある。それは、玩具に限らず人間の生き方にも

通底しよう。

 

端居して壁を一枚づつ剥がす     森壽賀子(龍門集)

 

香水をつけて手紙の封開く      一井千恵子(新星集)

 


               * * *

 

龍門集

しかばねとなってもやまぬ蟬の聲     渡辺まさる

列島に三たびの被曝秋暑し        若林波留美

 

無門集

鏡台の香水のこと触れもせず       小林邦子

空までも食ひ込むやうに土用波      斉藤順

万緑や途切れとぎれの川と逢ふ      斎藤久子

多く知り多く語ろう終戦日        盒欣子

無欲ほど阿吽の呼吸土用波        藤井とし子

天衣無縫の先の芒原           村木友光

膝を抱く他に術なしひろしま忌      山田都詩

灯籠の触れ合いながら呼びながら     浅野都

受け皿はかくもありしか御来光      大滝徳美

 

山紫集

猫じゃらし全員一致といふ恐怖      宮城留美子

朝顔や折り紙付きの種もらう       本宮珠江

高原の手作りベンチ星流る        吉野日出美

根の無きを気付かぬような瓶の薔薇    若山一美

線路まで神木の影涼新た         伊藤伯子

黙祷を終へてパラソル開きをり      猪熊みね子

黙祷の一分間を蟬時雨          久下晴美

無心なる蝉の声なり永平寺        国田育子

涼風や白川郷の梁百年          国松洋子

忘れたけれど忘れていない雲の峰     篠原葦

海を割り昇る龍にも雲の峰        渋谷芳夫

星たちと交信したき草の露        原田寿美

 

新星集

香水の瓶の逆さのシルエット       宮澤順子

水槽の出目金見つめ見つめらる      大庭英雄

多分きっと正解はない豆叩く       鈴木淑子

山小屋の書棚ヨットの本二冊       盒局匯

 

(「紫」2019年11月号・NO.906号より)

 

 

 

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