2019.12.09 Monday 14:05

「紫」2019年12月号・2

「紫」2019年12月号

大道無門(「紫」12月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

グラスにはイニシャル流星に王子   宮澤順子(新星集) 

 よく、グラスに金文字で描かれているのを見かける。

この作品は、二重構造になっていて、意味を解すると言うよりも、

読者が、どう感取するかにある。特に、流星にも王や王子があるというのは、

独特の感性であると共に、俳句には、まだまだ輝く未来があると感じさせる。

 

水の秋一円相の中は空        渡辺智恵(無門集)     

 一円相は、禪の極みである。ただの円に過ぎないのだが、

そこには、日常の営為から広大な宇宙をも包含している。

一円相を見ただけでも、悟りの度合いが解るとされている。

下五の〈中は空〉は、まさに虚の世界ではあるが質量の高い

虚空のエネルギーがある。

 

終わりとは次の始まり草の花     桝村節子(山紫集)

 

空蝉になほ一弾指ほどの息      鈴木千鶴(山紫集)

 

めいめいの部屋の扉を閉め夜長    伊藤伯子(山紫集)

 


               * * *

 

龍門集

バイブルのように白桃置いてある     鈴木紀子

観音と響きあふかな露の玉        森壽賀子

 

無門集

稲雀夜は駅前一等地           盒欣子

刺こそは生命なりけり笑う栗       依田壽子

虚構でも虚飾でもなし鉦叩き       浅野都

この位置を守り継ぎます思草       大滝徳美

 

山紫集

水中の深くは触れずげんごろう      宮城留美子

今までは仮の姿の露の玉         吉野日出美

猫じゃらし全部揺れてるわけじゃない   若山一美

大木に絡みつきたる大南瓜        石割ふじ子

いっさいを語らず仕舞ひ草の花      猪熊みね子

枝幹を支へし根元身に入むや       小眄子

鳥渡るローマングラスのとほき蒼     金子和美

草の根の握手広げる鰯雲         小金平佳代

自転車の空気満タン水澄めり       齋院志津子

黙礼だけで立ち去る人に月天心      篠原葦

芋の露いばらの棘へイエス歩む      渋谷芳夫

時々は花弁閉じたい水中花        嶋野靖子

空席を探しきれない虫時雨        島村治子

大袈裟な身ぶり手ぶりの団扇かな     下田純子

浄瑠璃の鏡芋虫見せられる        白戸麻奈

後退りできぬ構への飛蝗かな       土田淳孝

どこまでもコスモス不発弾に注意     長島千恵子

血管の行方見ている夜の長し       藤倉忍

圧巻な暮らし方です草の花        藤澤晴美

 

新星集

媚びを売るわけじゃないけど赤とんぼ   城口弘子

落人の裔やも知れず蕎麦の花       辻野喜久

(「紫」2019年12月号・NO.907号より)

 

 

 

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