2020.01.20 Monday 15:38

「紫」2020年1月号・2

「紫」2020年1月号

大道無門(「紫」1月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

いちどもかじったことのない檸檬齧る 小林邦子(無門集) 

 作者は、いつも新たな視点で作品を発表している。

掲句にしても散文調を最大限に生かしている。単なる叙述で

あっては詩は生まれない。単なる叙述に見えてそうではない

レトリックは、悟道にも等しい。現実と非現実の狭間に詩的

エネギーは存在する。その典型的な一句。

 

月光下ぴくりと浮子が動きます    渡辺まさる(龍門集)     

 

そのときのための装ひなりし山    大滝徳美(無門集)

 「山装ふ」と言う季語の恩寵を全面的に受けている作品である。

その恩寵を花開かせる装置は〈そのときのための〉という措辞である。

一体、〈そのとき〉とは、どんな場面を想定しているのであろうか。

俳句は読み手の文芸と言われている。非日常的な神秘の世界を想起する。

 

細やかな身のこなしやう草の露    浅野都(無門集)

 

こんな日が来ると思はず酸橘搾る   猪熊みね子(山紫集)

 


               * * *

 

龍門集

露の橋つひに振り返らざる背中      鈴木紀子

見え初めし山なみ招き寄す穂草      若林波留美

一切を天にまかせる猫じゃらし      森壽賀子

 

無門集

風だけが芒の力を知ってゐる       斎藤久子

爽やかや犬に見せてる力こぶ       島田良江

芒には手を振る準備できてをり      鳥海美智子

冷まじき完の一字のおろかさよ      福井ちゑ子

白秋や留め金ずれるネックレス      山加津子

爽やかな顔になるまで歯をみがく     山田都詩

月光浴浄化をするに如くは無し      渡辺智恵

熱きとは限らぬ火種ゐのこづち      新井富江

いささかの力もみせず萩こぼる      かみのみずほ

引き返す目印の無き薄原         後藤宣代

 

山紫集

ゆゑなくてゆゑなくてゐる夜長かな    本宮珠江

絶え間なく息をしている刈田かな     吉野日出美

露の玉天地を映し転がりぬ        若山一美

草紅葉なくした影をとり戻す       伊藤伯子

そぞろ寒髪を束ねし僧の夫        内田幸彦

秋うららパパの本格的カレー       金子和美

馬肥ゆる土手の老舗の黒光        神尾久雄

有難う言えるといいね銀木犀       齋院志津子

秋の灯や言ひたきことは追伸で      椎名和夫

はじまりはほんのりあかい芒原      篠原葦

絮となり生命繋げる秋の草        清水たまき

本題にたどりつけずに木の実降る     下田純子

 

 

新星集

スポンジの水の吸収秋深し        宮澤順子

本心は風吹く処ねこじゃらし       辻野喜久

 

(「紫」2020年1月号・NO.908号より)

 

 

 

 

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