2020.04.13 Monday 14:05

「紫」2020年4月号・2

「紫」2020年4月号

大道無門(「紫」4月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

あらたまの月の光を浴びる行    渡辺まさる(龍門集) 

 掲句の下五を「浴びに行く」と収めてしまっては、

只事俳句でしかない。「行く」のではなく「行(ぎょう)」と

する事で作品の次元が高くなる。この辺の言葉の転換を

会得すると、俳句の醍醐味に魅了されるに違いない。

俳禅一昧を想わせる佳汁であろう。

 

霜柱己律してゐたりけり      渡辺智恵(無門集)     

 

休ませていただきますと滝凍てる  岡嶋澄子(無門集)

 一年の中、大半を何も言わずに滝から水は流れ落ちる。

それが厳寒期になれば凍って、あたかも休眠しているかの

ようである。しかし、実態は違っていて川の水が塞き止め

られている訳ではない。川自体は不眠不休で、滝は氷柱の

原理で凍ってゆくのである。

 

からまつの彼方ダイヤモンドダスト 福島ときみ(無門集)

 

洗ひ晒しの空に紛れず風花す    西本明未(無門集)

 


               * * *

 

龍門集

またぞろの安全神話霜柱       鈴木紀子

冬晴を賜り比良坂への助走      若林波留美

一途さが取り柄なのですかいつぶり  森壽賀子

 

無門集

誇りある孤独なりしか寒満月     藤井とし子

寒林やゼロにゆきつく数え方     山加津子

冬温き記憶ばかりや糸車       依田壽子

狼の遠吠え荒々しきは凍星      新井富江

素といふは斯くも芳し初鏡      大滝徳美

凍てきれぬ声しぼりつつ落つる滝   かみのみずほ

透明なファイルに挟む初神籤     久下晴美

ひとりでに列の整ふ初日の出     後藤宣代

 

山紫集

独楽廻るよく廻ってるほど静か    若山一美

痛そうに空晴れわたる枯野かな    石割ふじ子

初富士を正客とする橋の上      伊藤伯子

さりとても気負ふことなく冬木の芽  大塚美代子

心根の真っ直ぐなまま露凝る     国田育子

神木のほのかに香る手斧始      国松洋子

人のためいえ違うよね福寿草     齋院志津子

初詣あなたは偏で私は旁       下田純子

ちょっとした別れのためにザボン喰う 白戸麻奈

人想ふ雪見灯籠なりしかな      鈴木千鶴

冬の川数息は常に平なる       土田淳孝

空っぽになれずひたすら毛糸編む   長谷川昭子

アポなしで降りてきたのか初雪    藤澤晴美

風信子グラスの底のひかりかな    本宮珠江

 

新星集

野水仙わからないからこそできる   宮澤順子

土塊にしがみ付きたる冬菜引く    田中和子

 

(「紫」2020年4月号・NO.911号より)

 

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「紫の会」

住所       〒332ー0015 川口市川口5ー11ー33

TEL/FAX   048-251-7923

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