2020.05.11 Monday 18:55

「紫」2020年5月号・2

「紫」2020年5月号

大道無門(「紫」5月号抄 ベスト5&佳句)    

山崎十生 選・評
 

割り切れぬ余りも答え麦青む    宮澤順子(山紫集) 

 数学的には、ごく当たり前の措辞である。しかし、

俳句は数学ではなく詩である。これは数学に事寄せ、

人生なら人生の喩えとして捉えている。〈余り〉だからと

言って疎かに出来ない。計算が違っていれば答には

ならないのである。日々を大切に生きるのが肝要。

 

水平線信じていない黄水仙      渡辺智恵(無門集)     

 地球平面説ではないが、掲句の場合は水平線を

信じていない人間、あるいは黄水仙そのものが考えられる。

その場合、前者は二句一章、後者は一句一章ということになる。

私としては一句一章で読んだ方が詩としての質量は高いと

思える。常識を越えてこそ詩。

 

水温み何も起こらないのが怖い    森壽賀子(無門集)

 

春雨や各部屋にある電波時計     若山一美(山紫集)

 

残念ながら人に生まれて青き踏む   小林邦子(無門集)

 


               * * *

 

龍門集

冴え返るコロナウイルス日和かな   渡辺まさる

見覚えある木の長廊下白泉忌     鈴木紀子

凍鶴や日本列島直立す        若林波留美

 

無門集

猫のきもち犬のきもち雪が降る    盒欣子

四畳半雪の匂ひのページ繰る     西本明未

杉玉の緑きりりと寒の晴れ      福島ときみ

トルソーの腕の断面春の雷      山加津子

地に足をつけてみたいと雪しきり   依田壽子

流氷のこれほどまでにストイック   浅野都

誕生にも死にも届け雪解川      梅原公子

死に神に勝って晴ればれ達磨市    折原野歩留

歯科医との鬩ぎ合ひあり緑立つ    木村成美

 

山紫集

見落としの画像診断冴返る      吉野日出美

北窓を開けて見送るもののあり    阿部たか志

少年のジャブジャブフック冴返る   伊藤伯子

目に見えぬものこそ要沈丁花     上田洋子

癖もなし裏表なし霜柱        小眄子

片恋と雪の相乗効果かな       金子和美

ウイルスはヒトを恐れず春の闇    小金平佳代

重圧を払ひ給へり今日雨水      齋院志津子

包んだはずが包まれていた春キャベツ 篠原葦

のどけしや紅殻塗のスパゲッティ屋  鈴木千鶴

雪吊りの風に吹かるるばかりなり   土田淳孝

猫の子を撫で告白をためらひぬ    箱森裕美

棺みなシングルなりし寒の菊     深沢ふさ江

モナリザの笑みは慟哭冬桜      宮城留美子

 

新星集

薄氷の深きに揺るるすれ違ひ     池田ゆふ

 

(「紫」2020年5月号・NO.912号より)

 

 

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