2015.09.25 Friday 13:14

作句のための 抜書き「旧仮名遣ひ」1

*再録連載にあたり
 『紫』に掲載された本文は若林波留美副主宰の「『旧仮名遣ひ』に慣れて戴きたい」との思いから、すべて「旧仮名遣ひ」で書かれています。今回「俳句スパイス」への再録連載にあたり、特に初心者の方々への配慮から、説明文に関しては新仮名遣いへ改めました。また、分量等の関係で、一回ごとの区切りが『紫』と一致しない場合があるかもしれませんがご了承ください。
 波留美副主宰は「『日本国憲法』が『旧仮名遣ひ』であることは、あまり意識されていないようです。ということは、旧仮名で書くことはともかく、読むことについては、あまり抵抗がないことの証左ではないでしょうか。岩波文庫の近代小説などで読み慣れてしまえば、自ずと身につくことと思います。」とも述べられています。この連載がみなさんのお役に立てば幸いです。〈俳句スパイス〉


蔵

 作句のための 抜書き「旧仮名遣ひ」(1) 若林波留美

〈はじめに〉
 戦後の国語政策の影響で、「歴史的仮名遣ひ」(いわゆる「旧仮名遣ひ」)が日常で使われなくなって、すでに半世紀以上経ちます。矛盾に満ちた「現代仮名遣い」(いわゆる「新仮名遣い」)に比べ、合理的な「旧仮名遣ひ」なのですが、いざ使おうとすると戸惑いが出るのも、止むを得ないことでしょう。
 しかし、俳句を文語で表す場合、「旧仮名遣ひ」のほうが、意味を正確に伝えられることがあります。(例えば「出(い)づ」は「出る」、「出(いで)ず」は「出ない」など)
 「旧仮名遣ひ」を覚えると言っても、そのすべてを覚える必要はありません。原則を覚え、特に注意すべきところ、間違いやすいところを理解すれば十分です。この稿の表題を「抜書き」としたのも、特に注意すべきところだけを採り上げたいと思ったためです。
 日頃「旧仮名遣ひ」は難しいと思っている人にも、「旧仮名遣ひ」に是非親しんでいただきたく、特に作句に多く用いられる仮名遣いを中心に、しばらく連載させていただきます。

〈大切なところから〉
「字音仮名遣い」と「国語仮名遣い」
 「旧仮名遣ひ」というと、「てふてふ(蝶々)」が代表のように挙げられます。しかしこれは、漢字の音(おん)を仮名で表したもので、「がくかう(学校)」「こうえふ(紅葉)」などと同じく、無理に覚える必要のない仮名遣いです。
 「旧仮名遣ひ」は、大きく二種類に分けられます。

・字音仮名遣い
 漢字の読み方(音)を仮名で表すときの仮名遣いで、例えば先に挙げた「てふてふ」に対し、町長なら「ちやうちやう」となるようなものです。これらは本来漢字で表記される言葉なので、「てふてふ」はともかく、町長を仮名で表す必要はまず無いでしょう。同じく、紅葉のことを「もみぢ」でなく「コウヨウ」と発音したいのであれば、漢字で書くでしょう。
 「旧仮名遣ひ」は難しいと思っている人は、、字音仮名遣いの複雑さを想像している人が多いようですが、表記上の効果を狙って、あえて仮名で書く場合は、辞書で確かめれば済むことです。

・国語仮名遣い
 本来の日本語(やまとことば)を仮名で表すときの仮名遣いで、こちらの方が大切です。
 先の例では「こうえふ」は字音仮名遣い、「もみぢ」は国語仮名遣いになります。漢字の読み方としては、訓の方で、川を「かは」と読むような場合です。
 だたしこちらも、名詞については漢字で書かれることが多く、あまり覚える必要はありません。仮名で書かれることも多く、俳句で比較的多く使われる言葉、例えば「くれなゐ」「たましひ」などをしっかり覚えて置けば良いでしょう。
 国語仮名遣いの中で、特に大切なところは、動詞の活用部分かと思います。この部分は、例外を除き仮名で書かれるものであり、使用頻度も高いものです。これをいちいち辞書で確かめるのは大変です。
 しかし、「旧仮名遣ひ」の動詞活用表記は、合理的・規則的に出来ています。次回は動詞の活用について採り上げます。

(「紫」2008年9月号より転載) 




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