2016.03.23 Wednesday 19:42

第13回埼玉県現代俳句大賞 受賞作品 3

 第13回埼玉県現代俳句大賞・優秀賞受賞作品

「明日から」 宮城留美子
一生は宇宙の幕間花芒
一億の露の喝采陽が昇る
露千里寂光浄土まのあたり
秋風や魂空を翔たがる
億劫のいのちの記憶鰯雲
立ち直りまた立ち直り草の花
秋の雨いのちあるもの燃え止まず
自然みな無に近づきし秋の風
遠紅葉親子の距離と思ひけり
水澄みて郷は木綿の肌ざわり
どんぐりの落ちて大きな空に会ふ
われもこう突いて触れて抱いてみる
どんぐりの今日までそして明日から
これまでのどれほどの時秋の川
祈る掌は支える掌なりむかご飯
露

2016.03.22 Tuesday 19:11

第13回埼玉県現代俳句大賞 受賞作品 2

 第13回埼玉県現代俳句大賞・準賞受賞作品

 
「をみなら」     渡辺智恵
ヴィーナスの泡より生まれまだ裸足
白といふ罪のありけり水着跡
結局は解くための帯半夏生
合歓の花遺る姉妹のよく喋る
うすものや傾げて少し長き頸
エディンバラ公爵夫人薔薇を剪る
ゆらゆらと水をかかへる熱帯夜
シャワー浴ぶあしたはもっとやはらかく
半分は海で残りは青檸檬
花火師の中のひとりは彼の姉
合掌のやうに掬ひぬ新小豆
草の花爪を切るとき膝を抱く
忘るるによき頃合いやかぜ颱風
マニキュアを月のおもさと覚えけり
鰯雲透き徹るまで手を触れり
あじさい

2016.03.16 Wednesday 19:16

第13回埼玉県現代俳句大賞 受賞作品 1

 第13回埼玉県現代俳句大賞受賞作品

「海の色」     久下晴美

わだつみを祀る社や雁渡る
二の鳥居くぐりて萩を零しけり
竜胆をひっそり咲かす一之宮
式部の実待ち人来たるとふ御籤
おもむろに猫の擦り寄る秋日和
どんぐりの袴をはづすとき本気
人声は近くて遠し草の花
泡立草ここから先は譲れない
蔦もみぢ話はどこで切り上げやう
稲架掛けや白く砕ける波がしら
灯台のすっくと立ちぬ秋の虹
葉鶏頭見るたび変はる海のいろ
あけび蔓ひっぱり運を引き寄せる
赤蜻蛉の色に昏れゆく佐渡の海
月天心波止場に猫の集まれり

佐渡
photo by K


2016.01.19 Tuesday 09:09

第37回星雲賞

  今年で37回目を数える星雲賞は、同人・会員の区別なく、純粋に応募された作品15句の競詠による「紫」の俳句賞です。今回は43編の応募がありました。作品は事前にすべて清記し直されるため、選考に臨む主宰・副主宰も選考会議が終わるまで作者が明かされることはなく、公平厳正な審査がおこなわれます。

結果は以下の通りです。

星雲賞  「ひいふうみい」      田邊則子

準賞   「草いきれ」        長谷川昭子

優秀賞  「蛍」           島村治子      

第37回星雲賞受賞作品
「ひいふうみい」     田邊則子

黒髪や秋は立ったり座ったり
燕帰る帰るところも地球なり
どんな世があるかと覗く釣瓶落し
引きこもる部屋に窓あり虫集く
抱きしめるひとにはあらじ霧深し
どの肩もお気に召さざるあきつかな
三センチ先からは闇雁渡し
蜩はただ二文字で哭きにけり
思い出すほどに遠きこと十三夜
あとのこと空に託して木の実落つ
花紫蘇を手折ればひそと暮るるもの
生まれざりし兄に引かれて秋祭
我を張らず且つ流されず鳥渡れ
家出人届受理さる芒原
ひいふうみい闇が数ふる秋螢

星雲賞受賞者
主宰・副主宰と受賞者の皆さん


2015.05.22 Friday 08:31

第53回 埼玉俳句賞受賞作品

「紫」無門集同人・稲葉明日香さんが第53回埼玉俳句賞の正賞を受賞しました。
受賞作品を掲載いたします。

「アダムの林檎」 稲葉明日香

阿は空に吽は大地に秋の風
月白や弥勒の十指躁となる
究極のアダムの林檎探しゆく
万歩計つけし案山子の膝頭
黙秘権決めかねているこぼれ萩
望月に瓦礫残りし翳のあり
一つずつ指紋消したるしやぼん玉
地動説信じぬままに蛇穴に
折鶴の一羽は過客秋遍路
この空の果ては涅槃や雁渡し

月白




2015.03.12 Thursday 18:49

第12回埼玉県現代俳句大賞 受賞作品 3

 第12回埼玉県現代俳句大賞・優秀賞受賞作品

「風の私語」      稲葉明日香

青芒弦楽器めく風の私語
げんげ田に死者の一人を捜しゆく
青葉闇無縁仏に飴一つ
竹落葉むかし秩父の七つ井戸
梅雨晴間ドラマのような嘘をつく
里言葉こだまとなれり青葉風
地の闇を糧にたかんな身を伸ばす
五月雨の空の重さに耐え切れず
よもつひらさか座禅組んでる半仙戯
DNA隠しきれないしじみ蝶
蓑虫の日和見主義に徹しをり
夜の秋飼ひ慣らしたる星一つ
つつがなく迷路を抜けし秋の風
月光に指いっぽんを曝したり
ナイーヴな曲線がよい寒卵

青葉





2015.03.11 Wednesday 18:10

第12回埼玉県現代俳句大賞 受賞作品 2

第12回埼玉県現代俳句大賞・優秀賞受賞作品
 
「螢」     田邊則子

肩車された頃からほうたるに
遠く近く螢呼ぶ歌由紀さおり
白線の外は危ない螢狩
螢追ひ何度か踏みし前世かな
父母はもう螢の側の人である
すべて秘密螢飛ぶ夜も非公開
別れ際螢の貌でプロポーズ
嫌われたい一心で飛ぶ螢かな
風のような螢のような胸騒ぎ
背後とは恐ろしきもの螢の火
飛びたくない螢いてよし以下同文
人の世の闇より深き螢の目
来るものは拒む掟の螢村
君はもう秋の螢のふりをして
やがてみな胸に螢を飼ひ始む


草の露




2015.03.10 Tuesday 19:54

第12回埼玉県現代俳句大賞 受賞作品1

第12回埼玉県現代俳句大賞・準賞受賞作品
 
「単眼鏡」     久下晴美

唐突の出会いは素適露の玉
こすもすの互い違いに自尊心
逆光の滞りなし芒原
鴎飛ぶ秋はどこまで来たかしら
指先をふうっと吹きぬうろこ雲
猫撫でてやる台風の来ぬうちに
極上のをんなの時間萩の花
かまつかの年齢詐称許されよ
肩の凝る話はしないからすうり
がまずみの実を零したる過疎のむら
神無月棚田まるごと干されをり
すれ違いざまの空白蝗飛ぶ
上り坂の続くかぎりを草の絮
秋風をまるく切り取る単眼鏡
鳥渡るテトラポットを超えて波


こすもす









2015.01.20 Tuesday 13:20

第36回星雲賞

 今年で36回目を数える星雲賞は、同人・会員の区別なく、純粋に応募された作品15句の競詠による「紫」の俳句賞です。今回は50編の応募がありました。作品は事前にすべて清記し直されるため、選考に臨む主宰・副主宰も選考会議が終わるまで作者が明かされることはなく、公平厳正な審査がおこなわれます。

結果は以下の通りです。

星雲賞  「水の底」         山加津子

準賞   「そこへ行く」       宮城留美子

優秀賞  「全知全能」        島田良江
     「行く秋」         鳥海美智子

第36回星雲賞受賞作品
「水の底」     山加津子

大切なことは目の前ところてん
敗戦日どこを掘っても土は土
地続きにヒロシマがあり夾竹桃
空蝉やあなたの空はどんな色
天網の入口しずか夏真昼
逢いたくて光り育てる盆の月
まだあきらめていない螢の飛距離
八月やこはごは覗く水の底
年齢は私的財産緋のダリア
向日葵や自分の影をたしかめる
知らなくてよいことばかり花石榴
ひたひたと二百十日の木の匂ひ
声高に地球廻りぬ大枯野
風花の昂ぶることなく崩れけり
火の上の昏く匂へり夕桜

*作品ごとに仮名遣いの新旧使い分け



星雲賞受賞者
主宰・副主宰と受賞者の皆さん


2014.03.04 Tuesday 15:05

「紫」2014年3月号・1

龍門集より

荒縄の巻かれ冬木の競(きは)ひ立つ     山崎十生
綾取のうしろに日本橋がある
いつ海を脱ぐのかホェールウオッチング     
 
落椿ほどの勇気はなかりけり         鈴木紀子
この先は道草がいい鵙日和
 
陽を播けり稲穂象(かたど)る神楽鈴     若林波留美
箸正座木綿舊假名柳散る
 
霊峰へ不知火型の初日かな          渡辺まさる
 
初日の出水平線の騒ぐなり          関口晃代

転生の尽きざる思ひ日向ぼこ         森壽賀子

剪定の切り口は愛である           六車淳子
 
注・舊假名・・・旧仮名

(「紫」2014年3月号・NO.838号より)


雪椿






 

<<new | 2 / 3pages | old>>
 
CALENDAR
NEW ENTRY
ARCHIVES
CATEGORY
COMMENT
PROFILE
MOBILE
LINK
RECOMMEND
SEARCH
OTHER

(C) 2020 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.